2014/07/20

マーティン・フリーマン&ロジャー・ロイド・パック&三谷幸喜「The Last Laugh/笑いの大学」プログラムちょっとだけアップしました

絶賛時差ぼけ調整中につき、家の個人的お宝を掘り起こしています。
ちょっとだけですが、The Last Laughのプログラムをこちらにアップしました。

http://gojohnnygogogo.tumblr.com/post/92297425117/the-last-laugh-by-koki-mitani-adapted-by-richard

このお芝居についてはマーティン・フリーマン FLIX special でしっかりめに説明していたと思います。


2007年なので、ちょっとお顔がふっくらしてる感じですが…。


2014/07/19

マーティン・フリーマンがリチャード三世になって話題のシェイクスピア劇RICHARD III観ました

行きました。


http://trafalgartransformed.com/whats-on/richard-iii

もうすでに沢山の方がアップ&翻訳しているとは思いますが、お約束なのでプログラム



すみません、出待ちしてません…(汗)よってステキな画像がありません。以下、文字だらけになります。

【リチャード三世は…】
数あるシェイクスピア劇のなかでも大人気の演目の一つですね。自他ともにしょっぱなから認める”ワル”が主人公のホントにやると3時間以上をゆうに越す長時間のお芝居ですが、説明を入れるなど手が入り、観やすい尺になっていることが多いそうです。ワテクシが過去にみたことのあるリチャード3世も各プロダクション・バージョン、というものでした。
リチャード3世といえば、”マキャベリアン” の代表作(*1)とよく言われてますが、個人的にはこのマキャベリアンな特徴は、リチャード3世に特化しているわけではないかな、と思っています。とくにNT LIVEで今秋日本でも観賞可能であるOTHELLO で、ローリー・キニアさんの「この演目の主人公はOTHELLOじゃなくてイアーゴなんじゃないの?」もしくは「この演目のタイトル、OTHELLO じゃなくてIAGO なんじゃないの?」なイアーゴをみてからは、OTHELLOこそ超マキャベリアン、って思ってます。

(*1)ものすごく乱暴にまとめると、劇中でリチャード三世がやっていることを”王様とはこういうもんだ”と正当化しているマキャベリの”君主論”がよく描かれている、ということです。「極悪」「欲のためなら誰でも殺せる人でなし」=リチャード三世、というイメージの直結をすると”なぜThe Tragedy of Richard IIIってタイトルなの。自業自得でしょうに" と思われるかもしれませんが、そのカギはこの君主論にあると思います。(ちなみに読んでると、なるほどね〜、って思うんですよね、コレ…)

【ちなみに現実のリチャード三世は…】
シェイクスピアのせいで、実在したリチャード三世までとんでもワルなイメージがついてしまっていますが、じつはそんなことはないんだよ、という気の毒リチャード三世!な話は、こちらでどうぞ。(でも例の駐車場で見つかった骨の研究結果によると、せむしの痕跡はあるっぽい…)


【何はともあれ、まずは、渦中の”客層”と劇場内の”空気”について】
実際にお芝居を観るまではレビューは読むのを控えていたので、詳しく追っていなかったのですが、タブロイド紙や一般紙が「客のマナーがなってない」「芝居をみたこともないホビット・ファンが…」といった、芝居とは別のベクトルで眉毛をコイル巻きにし、批判をしていたようですね。
しかしながら、私が観たときの空気は、まったくもってして健康的でしたよ。ほかにお芝居を観に行くときにみえる光景、まったく変わらずでした。マナーに関しても、その前の晩に行ったCurious Incident of The Dog in the Night Time でのお客さんのほうが悪かったくらいです。(→超有名なお芝居になってしまったので、ロンドンに旅行に来た記念にウエストエンド体験として観劇している旅行者さんが沢山いるわけですよね)いわゆる批判されているような空気は、過去に超人気俳優さんの舞台をみたときに経験しているので、「批判するようなことは起きていない」という人たちに賛同です。

【Trafalgar TransformedのRichard III は…】
未来のディストピアを舞台に繰り広げたMacbeth、戦時中の共産主義(ロシア)の拷問を基盤コンセプトに展開したピンターのThe Hothouseを例にとってもわかるとおり、ジェイミー・ロイド氏のTrafalgar Transformedですから、正当派なリチャード三世なわけがありません(笑 ワテクシ、いい加減学びました。クラシック作品をもとに新しい作品つくリました、くらいな期待感でいかないとダメなんだ、ということを。(その意味では、シェイクスピア劇を初めて見る初心者用ではなく、むしろ、芝居好きのセミプロ、もしくはプロ仕様のお芝居というダブルスタンダードなんじゃないかと思っています。)

そんなわけで、リチャード三世が、ディストピアンなイギリスで起きた架空の軍事クーデター、という設定、そして冒頭で登場人物たちがガスマスクつけて登場しても、「ぷ、お約束」とか笑えました。(ところでガスマスクって高いプロップなのかしら。モトをとる目的で、ジェイミー・ロイドってガスマスクの使い回ししてたりして… (違)

すごくテンポのよいリチャード三世でした。感覚的な話ですが、お芝居の毒の部分が重力ではなく、風力で演出されている感じ。斧や鈍器で殴られるのではなく、小刀でシャっと首筋切る感じです。そしてコレってジェイミー・ロイドの”色”なんじゃないかと思います。を見事に具現化できたのは、マーティンだったのではないかと思います。マーティンが、粋でシャープで毒のあるシャベリをするときがありますよね。あの部分が反映されてる舞台な印象を受けました。

もとアラン・カミングのプチ相方(注:キャリタ的な話です)で、Trafalgar Transformedのマカヴォイ君のマクベスでバンクオを演じてた実力派俳優フォーブス・マッソンのヘイスティング卿がお気に入りです。エドワード王の息子を王位継承者として支持するという一見普通のことをした結果逮捕されちゃうというブラックコメディの味をぴりりと出していて、本当にウマいです。また、「ノッティング・ヒルの恋人」「ひかりのまち」などでも有名なジーナ・マッキーのエリザベス(エドワード4世の奥さん)が素晴らしかった! 特に後半、芝居のペースを調整してくれてたのは、彼女だったのではないだろうか、とかブチブチ思ってます。

【一つもにょもにょいいたいことがあるとすれば…】
ぶっちゃけていいます。軍司令部オフィス内でほぼ全編展開するということの、無理感です。いや、役者さんたちの上手な演技のおかげで、フィジカルなソリッドシチュエーションの舞台にも別の時空間を作り出してはいたのですが、何しろ、デスクがでっかいんです。しかも会議用のでっかいデスクを2つも置いてるんです。結構な人数が出たり入ったりする劇&動き回るスペースが狭すぎて、なんだか窮屈に感じました。立ち回りでデスクの上や下を飛び回るのは、かっこいいんでアリなんですが、全体的にスペースがないので、シャープ感や迫力が…(汗)

今さらの説明で恐縮ですが、舞台は通常の劇場と一風かわったフリンジスタイル?で、舞台後ろにも客席を設けているんですね。舞台の延長上に後席がある、という感じです。つまり舞台の正面向いて役者が演じると、後席からはその役者の後ろ姿が見える、ということです。
こんなに舞台の空間余地がないなら、この席をとっぱらおうとかなかったのかしら…。と思ってしまってます。しかも、
MacbethやThe Hothouseよりも席数が多い気がする…。Macbethは後席3列くらいじゃなかったでしたっけ???(違いましたっけ?)Richard IIIの後ろ席数6−7列くらいあった気が…。(要確認です。同じかもしれません!)

【とはいえ…まとめ】
とはいえ、ですね。楽しみました。2014年7月19日現在まだチケットは入手可能のようですので、機会がありましたら、ぜひお試しください。http://www.atgtickets.com/shows/richard-iii/trafalgar-studios/