2015/10/07

マイケル・ファスベンダーさん主演、(すでに)アカデミー賞有力候補ともっぱらの噂の映画「マクベスにちなんだ、独断と偏見満載の感想メモです。




いままで複数のマクベスを観てきましたが、いつも自分的に一番の焦点は、自分にとって、なぜマクベス夫妻があのような行動にでて、その後あのような末路を行くのかが、合点がいくかいかないか、になっています。そりゃーマクベスが制作された昔のブリテン諸島では、人々は宗教が背骨であり肉であり、あらゆるsuperstitionsが日常生活とリアル混在していた時代ですから、魔女が出て来て、魔女のお告げで王様殺したことをきっかけに、身も心も狂っちゃう、という展開で合点は行くでしょう。しかし、現在制作されるマクベスがそれでは、シェイクスピア劇が時を超えて世界中の人々に「過去の産物」ではなく「今も生きるストーリー」として愛され続けるかの証明にはならない。時を超えて、そして国境と宗教を超えても共有する人間関係、人間心理、良心、邪心がどのように関わることで、マクベスのストーリーをリアルにみせてくれるのか。いつもしつこくお断りをしていますが、私はシェイクスピアリアンではないので専門的なことはまったくもってわかりません。いつもそんな超ミクロな観点で楽しんでいます。

そして今回、10月2日より英国公開されたマイケル・ファスベンダーさんinマクベスを観ました。

すごく!面白かったです! なぜマクベス夫妻が”ああなって””こうなった”のか、すごーく納得行くようにきちんと描かれてくれていました。すごく、納得が行きました。その理由と思われる点を以下、箇条書きにしています。

**いくつか、斬新な演出や展開があり、本当はそうしたところが(特にラスト!)「もう一回観てしっかり考えたいかも…」と思っている理由なのですが、書いちゃうとネタバレになっちゃう気もして、書くべきか書かざるべきか悩んでます。

① マクベスの言動に合点がいった大きな理由の一つとして、夫人がヒステリックママさんではなかったことが大きいです。キーキー感情的になっちゃう夫人バージョンだと、マクベスの真なる犯罪心理が上手にうけとれない傾向にあります。キーキーな奥さんに言い負かされちゃって、とか、尻に敷かれちゃってとか。
女性が男性をコントロールできる状況ってありますよね。マクベス夫人が支配者のパワーを持つ描写がリアルでした。そしてその肝っ玉がある確固たる背景を冒頭で見せつけてくれるんですね。だからマクベスへの誘導作戦も上っ面に見えなくて納得がいった。

② そんなキーキーヒステリックとはほどとおい、思慮深く、冷静沈着な夫人。悲劇のきっかけが起きた黒幕の印象すら持つ。ここまでのレベルでRationalな夫人設定だと、キーキー夫人とは違うハードルが出てくるんですね。ストーリーがすすむにつれ、「夫人、どうやって狂うんだろう?」って思いました。同じ筋書きなのにまったくもって予測不可能であり、ここがワクワクドキドキするところです。そしてこれこそが、シェイクスピア劇の醍醐味の一つなのではないかと思います。そして、ここは筋書き自体は一切かえず、大胆なテコ入れにより、大変信憑性のある展開で、夫人は罪悪感に苛まれ、正気を失い死にました。見事すぎました。

③ ①につながるのですが、キーキー夫人じゃない、冷静夫人だったおかげで、マクベスの内に潜む「弱さ」という一番の人間らしさが、夫帰還→夫婦再開時にはきちんと見えていたんです。そりゃそうだよね、あの地獄よりも酷そうな戦争から帰ってきた戦士さんなんだから、PTSDになってて当然だよね、と。ダンカン王の殺害時のマクベスの狂気と、その後の彼の言動の狂気っぷりに納得が行きました。そうこの映画のマクベスは「病んでる」ことがはっきりわかるマクベスでした。
そういえば、どのプロダクションのマクベスでしたっけ? ここ数年で、戦争から帰って来た兵士なのだからマクベスはPTSDなんだろう、という解釈で制作したバージョンがありましたよね?

④ 撮影カメラ技術がハンパなかったと思います。 ハリウッド一大アクション映画並みのカネの使い方じゃないのかな。リクープできる自信あったんだろうな 汗)ウルトラ・ハイスピードカメラ使ってたんですけど、刀ブッさしたときの血しぶきの散り方とか、泥沼で暴れる群衆に降り掛かる泥沼とか、口から吐き出されるドロッドロの血とか、雲の合間からさす日差しに照らされる粉雪とか、生々しく美しい。
コレは使っていた様子です。このカメラを手玉にとってあの映像をとるカメラマンさんの才能と、あのシーンの数々を演出した監督さんは、本当にカッコいいと思います。
http://www.visionresearch.com/Products/High-Speed-Cameras/Phantom-Flex4K/?gclid=CjwKEAjw4s2wBRDSnr2jwZenlkgSJABvFcwQNUMSXsTiynJcsd27W3M7ynj5_IUz3V3dsLa_DVC9JBoCq0Hw_wcB

⑤ マクベスといえば、Murder でBloody はキーワードの代表例だと思うのですが、そしてそこからイメージするものの一つとして「赤色」ははずせないと思うのですが、この映画「マクベス」の「赤」の使い方、赤から連想できるイメージによる演出の数々に深い感銘を受けました。コレは、最新技術があってこそ、映画だからこその、赤色による描写であり表現。とくに、個人的にはしょっぱなのタイトル文字の衝撃的な赤色、クライマックスの戦場炎上、そしてエンドロール時の赤フィルター。映画館でエンドロール時の絵に見入ってしまうことはあまりないのですが、目がはなせなかったです

⑥ 衣装デザインが、これほどキャラクターの内情を代弁するものとは、というほどの衣装デザインでした。具体的な例をいうと、「マクベスが病んでいる」描写の大きな役割をになっていたと思います。

⑦ スコットランドおたくとしては、シーンが繰り広げられる場所と、撮影場所の比較しがちで、「ぶっ。こーれ、こんなところのはずないだろ」みたいなところがあったんですが、それは、どんな映画にも、その道のオタク様方で起きている現象だと思いますので、とくに気にしないでください

⑧ ストーリーは変わらないんですが、エッジに変えたりエッジに飛ばしたりするんです。でもそれには上記のような納得し、感銘を受けるだけの調味料となっていて、その調理の仕方に本当に感動しました。

⑨ ちなみにすでに公開前から、中学/高校では映画鑑賞時間を作っているようですし、私が行ったときも、平日昼間なのに、お客さんパンパン(ローカル映画館なのに!)。老若男女が自ら選んで観る映画として成り立っています。このマクベスは正直、レート通り15歳以上じゃないとキツイな、と色々な意味で思っていましたが、それでも日本でもNT LIVEなど、私立高校とか大学1年生とか連れてばいいんじゃないの?って思います。昨今の日本のニュースをみていても、教育を手薄にする一方な国、という印象なのですが、教育に力を入れ、投資額を増やすほど、結果的に経済が繁栄することは、結構いろんな国が証明してくれています。大学や教育機関が多く、トップのクオリティである研究機関がある場所には、大企業がこぞって、人材の確保のために、その場所へ会社を構えビジネスを拡大していく。ぜひ日本政府や各自治体も教育への投資を重要視して欲しいです。

というわけで、ネタバレもしてないのに、思いついたことを箇条書きにするだけで、こんなに長い記事になってしまいました。。。(汗)ぜひ観てください。


2015/08/05

(続)英Channel4 米AMC(共同制作)Humans出演のコリン・モーガン君とジェンマ・チャンについて


Humans

すみません。じつはもっともらしい感想を書いたのは、このドラマ本体とはまったく関係なところで語りたい2つのことがあるからです。

①警報!警報です!コリン・モーガン君病発生です!

具体的にいいます。

ーやさぐれてる
ーこぎれいよりはこぎたない→別名プチ・ワイルドと呼ぶ
ー今流行の無精髭(→個人的にtrendy beardと命名しています。コレでだいたい誰でもどんなヒゲについて言っているか通じます)に簡単すぎるくらい、すぐにグっとくる。

上記の一つがタイプにあてはまる方、このコリン・モーガン君がすごいことになってます!
だってほら!



コリン・モーガン君はMojoのお芝居をみて以来、その才能を前に、かなりお気に入っていたのですが、この!Humansのリオ役(レオ?日本語表記はレオですか?)がかっこいいったらない! 第1話はそれほど出演尺は長くなかったのですが、視聴後即、「次回以降、コリン・モーガン君の出番がこれ以上長かったら、お祭りになる」警報がでました。出演時間が長くなっていた2話以降、以下のタンブラさんとワテクシの視点でみるコリン・モーガン君は一心同体です。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
http://fyeahcolinmorgan.tumblr.com/

②ジェンマ・チャンをみるたびに…


キレイ。ホントキレイ! 何この人!こんなにキレイで聡明で、母なる大地みたいな女神みたいな雰囲気のある女優さんだったかしらっ?!っていうくらい、むっちゃくちゃキレイです。こんなに演技上手な人だったんだ!というその才能にも、ホレてしまったし。他のドラマでも何回かみたことあったけど、(シャーロックにもでてましたしね)このドラマで、株がさらに上昇なのではないかと思うんです。美人度も演技の実力も。
なんですが。こんなにキレイでこんなに才能があってこんなにステキなのに、この人のボーイフレンド
(1分29秒後くらいからご覧下さい)


わ、わかってます。ホントは、めっちゃくちゃいいところのオボっちゃまなんですよ。お父さんコリン・ファースとかジュディ・デンチとかのレップで、業界牛耳る大物で、その御曹司だってわかってます(汗)お似合いよね、です。そんなわけだから、彼は今やウエンブリー・アリーナとかも埋めちゃいますしね。映画も今度でるし…

でもこれ…





ジェンマちゃんでるたびに、


ボーイフレンド…



8月中旬公開のBBC3 コメディドラマ「Bad Education」の映画版のトレイラーを一応はりつけておきます。


英Channel 4米AMC(共同制作らしい)の話題のドラマHumansはかっぱえびせん並みにハマる(忙しい人には)超キケンなシリーズです!


Humans

大変クオリティが高く人気があったBBCドラマシリーズ「スプークス」の作家さんが再び…ってこともあり、注目の高かったHumansは6月に開始と同時にものすんんごい評価が高くってですね。(CM入れて)60分のドラマは、ここ最近(1年くらい 汗)なかなか時間をとって観ることができずにいたのですが、この作品は、見始めたらどうにもやめられないとまらない!2日で8話みちゃいました。




出演者情報は(ポスター広告でガンガン出ていたジェンマ・チャン以外)大してわかってなかったのですが、いざ見始めたら、キャサリン・パーキンソン(→英シットコム 「ハイ!こちらIT課」の。あとウィショーさんとアンドリュー・スコットが出演したお芝居にも競演していたので、おなじみのお顔ではないでしょうか?)やコリン・モーガン君(マーリンでマーリンだった)それからウィリアム・ハートとかなんか、すんごい名の知れた役者さんがゾロゾロでてました。

【お話は】
人間とまったく同じ形をしたロボット「Synthシンス」が発明され(多分目の色が違うくらい?)、忙しい生活を送る人間たちをサポートする時代に。プライマリー・ユーザーの言うことをきき、任務をすべて完璧にこなします。身体の不自由な人に充分以上の介護をし、仕事と子育てで家事もままならない夫婦のために掃除料理洗濯をテキパキこなします。
ローラの家にもシンスがやってきました。ある日仕事から帰宅すると、シンスのアニータがせっせと家事仕事を行っていたのです。ダンナのジョーが勝手に購入してしまいました。ロボットに頼ることには大きな抵抗を感じていたローラは反対するのですが、アニータが反抗期まっさかりの10代の長女、”色々”目覚める思春期まっさかりの長男、そしてまだまだ甘えん坊の次女と仲良くやっているのと観て、しばらく様子をみてみることに。
ロボットには感情がないはず。痛みも味わえないはず。なのに、アニータからそれらしき様子がみてとれ、ローラは疑心を抱きます。母親である自分が上手にできない我が子たちとのコミュニケーションをいとも簡単になしとげるアニータへのフラストレーションのせいかもしれない。しかしたしかに彼女はロボット以上の何かを秘めているようで…

【声を大きくしていいたい。王道プロットへのリスペクトがあってこそ生まれる新しい傑作】

人間よりも機能において優れたロボットは、「空気を読む」「感情を持つ」「命を持つ」ことができないから、人間がロボットよりも優越だと正当化し、差別し都合のよいように扱うことを正当化している。またロボットも「感情がない」から人間の思うがままに「機能」する。しかし、この「人間よりも優れた」ロボットが人間よりも劣る証拠である「感情を持つ」能力すらももってしまったら? それは人間にとって脅威となり、従順な「奴隷」から撲滅すべき「敵」へと変わってしまうんですよね。
コレ、「ロボット」という設定さえとっぱらってしまえば、人類史で過去何度となく繰り返し起きている、今だ解決しない人種や民族、宗教間などの問題と共通し、過去何度と繰り返して取り扱われてきた社会ドラマですよね。
もうちょっというと、「人間の容姿なんだけど人間じゃない○○」のドラマもそれほど目新しいわけじゃない。ぱっと思いついただけでも、エイリアンが人間の容姿をしている「V」(80年代のですよ!汗)とか、この間BBCでやっていた「In the Flesh」とか。人間の形ってわけではないけど、同方向性のテーマだった「District 9」とか。それから、ここ10年くらいのヴァンパイアもののティーン/ロマンス小説シリーズなんかもそういうテーマを取り扱ってますもんね。
じゃあ、なぜこの目新しいわけでないドラマが、これほど「かっぱえびせん」並みにやめられないとまらない面白さだったのか。それは、この王道テーマをきちんと基盤にすることで、視聴者が共感し入り込みやすい導入口を作り、ドラマのミステリー部分のじらしを無理なく可能にし、科学の可能性を含むちょっとした”飛躍”(リアル感のない要素)を可能にしているからなのではないか、と思うわけです。「コレ結局、オチはなんなのよ!」とラストまでじらされたあげく、「結局コレなの…?(→今までの時間返せよこのヤロー)」みたいなドラマにならなかったのは、そういうことなのではないか、と。

というわけで、ホントにコレ、面白いです。S2も決定しているので、ぜひみなさま、キャッチできるようでしたら、してください!



2014/11/19

マーティン・フリーマンが英人気コメディキャラクターによる音楽ネタのモキュメンタリーに登場します。


放送日は12月9日よりとなったそうです。

色々考えた結果、この番組について説明しようとすると、いつまでたってもマーティン・フリーマン情報までたどりつけず、きっと誰も読んでもらえなくなると判断しました。断腸の思いで、大幅にカットします(涙)

もともとBBCがウエブサイト上で新しいコメディを、と展開していたプロジェクトから生まれたキャラクター、ブライアン・パーン/Brian Pernと、彼が案内する音楽ドキュメンタリー、という設定で展開するモキュメンタリーから始まりました。2014年の始めに
BBC4にて新エピソードが放送。今回はその続編になります。リアルなミュージシャンやロックスターと、英国民中に絶大な人気を誇るミュージシャン・キャラ(注:リアルではない)がごちゃまぜ、リアルな英国ロック/ポップ史と完全なネタとごっちゃまぜにして展開するので、UK音楽に詳しい方のほうが、リアルとネタの区別がつきやすいと思います。

【このキャラを作った人は…】
英ベテラン芸人サイモン・ディ。90年代中旬から後半に英国中に大ブームを巻き起こした「FAST SHOW」というキャッチフレーズがベースのスケッチコメディ番組のレギュラーだった人です。また番組制作や共演者には、FAST SHOWつながりの芸人さんが多く名を連ねています。
ちなみにこの番組、ジョニー・デップの大ファンの方なら遭遇したことがあると思います。米ではまともに放送されていなかったのに、この番組があまりにも好きすぎて、出演を懇願し、ゲスト出演したというクリスマス特番エピソードがあるからです。




【ブライアン・パーン/Brian Pernのキャラについて】
昔EMIと4百万ポンドでレコード契約を交わしたものの大して数字が伸びなかった上に契約通りにアルバムを制作していない(カルト的人気の)プログレバンド、Thotchのリーダー。ロックの歴史を語る案内人として音楽ドキュメンタリー番組に出演し、契約について素知らぬフリしてきたけれど、ついにEMI側が怒って起訴する、とかいっておるらしい。どうも今回はこのThotchの(犬猿の仲の)面々が(イヤイヤ)集結=再結成し、Jukebox Musical (既存曲を用いてミュージカルを作ること。マンマ、ミーヤ!とかウィーウィルロックユーとか)の制作に入るっぽいです。そして、この状況をカメラが写すドキュメンタリー…という名のスプーフになります。

【修正:Radio Timesによるマーティンの役どころ】


だそうです。
このスプーフコメディの監督(で芸人さんなんですけど)リース・トーマスさんは昔からマーティンとよく知った仲。マーティンは激忙だから、まさかオファーにオッケーしてくれるとは思わなかった、と語ってますね。撮影は例のリチャードIII上演時期で、負傷してたときだったらしいですね。
しかし、この記事を読めば読むほど、完全にUKコメディファンの心をくすぐる内容っぽくて、早く観たくてしょうがありません。ジャック・ホワイトホール君とのからみもかなり楽しみです。放送は12月9日からだそう。マジで楽しみです。

2014/11/16

カンバーバッチさんのThe Imitation Gameは地球上にひっそり生息するカンバーバッチ病未感染者を根こそぎ撲滅する映画です

(注:あらすじは、eiga.comさんが書いている以上に書いてないです。アラン・チューリングさんについても書いたらネタバレになる、となったらコワいので書いてないです。というわけで、かなりネタバレにならないように気をつけてますが… 書いちゃってたらごめんなさい。もしだったら、警戒してください…)


あまりにも評判がよいのと、トレイラーですでに泣いていたので、公開の週末に無理矢理いってきました。

The Imitation Game



第二次世界大戦、ドイツナチ軍の攻撃を受けて大ダメージを受けるイギリスを守るため、天才数学者アラン・チューリングさんが選ばれた才能高き仲間とともに、ドイツ軍の作った暗号機エニグマを読み解こうとするドラマですね。彼はリアル・ヒーローなのか、それとも…?という緊迫の胸痛ドラマ。日本では2015年3月より公開されるとか?(ギャガさんの配給とか?)

本当は政治的観点からみた駆け引きの面白さや、政治的バックグラウンドを持ってしてわかる○○さんのこのセリフ、的なところをお話したいのですが、あまり細かく書くと「ネタバレテロ攻撃!」と怒られるという話をきいているので、喋らないでいようと思います(汗)とくに、アラン・チューリングさんについて話を書いちゃったら、ものすごく怒られちゃうんですよね? なので、だまります…
ただ、ですね。
メインは第2次世界大戦が舞台の話ですので、この時代のヨーロッパ政治、とくに誰が誰と同盟を組んでいたのは何を恐れていたからなのか、イギリスが「今そこにある危機」と「今そこにある危機よりもじつは恐れている危機」をわかっていたほうがすんなり登場人物の言動に納得できると思います。たしかにパーソナルな人間感情だけでも涙と鼻水がズズっとなる感動作なのですが、そんなメロドラマ以上に絶賛される理由の一つは、登場人物の肝心なシーンでの言動が戦中のイギリス(国際)社会政治がしっかり反映された上での言動にあると思います。
 
 また当時のイギリス社会、とくに女性の社会的地位や当時のタブー問題など、人と”違う”ということが、個性としてリスペクトされるどころか、イジメやScapegoat といったネガティブな結果を招くという事実…たしかに、現在でも決して珍しい話ではないですが、やはり刑罰を与えられるレベルだった当時は、現在の先進国ではあってはいけないとされる非人道的かつ不条理な社会ではないでしょうか。イギリスはここ最近色々と騒動が立て続けに重なり、とくに女性/ゲイ/人種差別問題に敏感になっているので、男性が暗号解読者の1人だったエリザベス(キーラ・ナイトレイさん)への失礼な発言をした際、「URGH!」「BOO!」といった声が一世に劇場内に響き渡っていました…

 ちなみに、この映画の原作者さんはアンドリュー・ホッジズさん。彼のウィキさん情報を拝見すると、この作品およびアラン・チューリング氏を非常に内側から理解して書いてらっしゃる方なんだなとわかる、そんな方のようですね。チューリングさんの思考回路にホッジズさんが同化しないと、この絶妙なユーモアやアイロニーそしてどん底の哀しみが幾重にも重なり合うレイヤーは生まれないのではないでしょうか。その原作を反映した素晴らしい脚本だと思います。[ 追記:Deadline.comでこの脚本が2011年のブラックリストだったという記事を発見しまして、映画のとあるシーンに壮絶にオサレな趣向が凝らされています!】 & 監督さんのモルテン・ティルドムさんはノルウェー出身でTVドラマで過去作品は少ないけれど、全部当ててる方ですね。(→未見ですみません)

 【肝心の?! カンバーバッチさんですが…】
単刀直入にずばり。カンバーバッチさん扮するアラン・チューリングさんなのに、アラン・チューリングとしてしか見れなかったのが、すごかったです。しかも、アラン・チューリングさんって、今までカンバーバッチさんがこなしてきた役柄やご本人自身の生い立ち、人となりをベースとして作り上げられた”イメージ”(→ファンの皆様の進化して加速し続ける想像からくるものも含まれます)と、オーバーラップする人でいらっさると思うんです。ああ、チューリングさんをカンバーバッチさんがやるのか、わかる。っていう、イメージのかぶり方だと。ところが、カンバーバッチさんがチューリングさんを食うどころか、チューリングさんの中に消化され、チューリングさんとして光りを放ち、魅力を発揮し、愛されキャラとなっていた。
いわゆるカンバーバッチさんブランドの「かっこいい」はまったくないんですよ。でも、コレ愛さずにはいられないでしょう。アラン・チューリングさんと喜怒哀楽を分かち合う愛を持たずにいられないでしょう。たしかに脚本が素晴らしい。けれど、前述のとおり、セリフに現れない「わびさび」がこの作品にはまき散らされている。それをすべて具現化するのは役者であり、カンバーバッチさんの静なる演技に、すごいな、と本当に思いました。

 【その他備考】
(ぼ、ボッソリ…)ろ、ローリー・キニアさんが何をやってもかっこいいです…。あ、あとマーク・ストロングさんってワテクシ 



これがディフォルト設定だと思ってたんですが、上に髪の毛が乗るバージョンってあったんですね!!! (汗)
マシュー・グードさんは、グッド・ワイフに出てらっさるようなので、人気なのかしら?とっても好感の持てる役でした…
あとですね、キーラ・ナイトレイさんは本当に美しくチャーミングだったです…。

とりあえず、こんな感じですーーー。