主演はトム・ハーディさん。
トレーラーはこんな感じ。
とにかくPeaky Blinders以来、スティーヴン・ナイト、ときくと、ゴキブリホイホイの匂いを嗅いだゴキブリのように吸い寄せられます。そんなわけで、鑑賞させていただきました。
【物語は…】
家族円満、仕事も充実、と順調な人生を送る建設マネージャーのアイヴァン。大規模なプロジェクト目前の夜、彼のもとにかかってきた電話により、順調だった彼の人生に異変がおこります…
【圧巻すぎる!逃げも隠れもごまかしもない、86分本当に車を運転してるだけ!】
いやもう、びっくりしました。この映画、ロンドンへ車を走らせるトム・ハーディことアイヴァンが、あちこちに電話をしたりあちこちから電話がかかってくるだけなんです。86分。ホントにそれだけなんです。
ウソじゃないんです!!(涙) (→何に訴えてるのかわかりません…)
ホントにホントにホントに、1時間半近くもの間、大画面スクリーンでハーディさんと、ハーディさんの運転する車と、夜に高速道路を走る光景しか映りません。サービス・ステーションとかに入って休憩もしないです。(休憩なんてしてられない状況があるんですが 汗)運転しながらひっきりなしに電話で話してるだけです。
そんなわけで、写すアイテムがものすごく限られています。声の共演はあってもビジュアルでの出演者はハーディさんことアイヴァンだけです。ひたすら、制限速度を守り高速をつっぱしるアイヴァンの姿だけ。しつこいようですが、休憩もしないし、ほかの車と接触がないので、エキストラもほぼゼロに近い状態です(→ひとっこ1人いない、と書こうとして、ほかの車を運転している男性が一度きちんと映り込んだことを思い出しました…)
ビジュアル的に映画で期待されるであろうドラマティックな見せ場をそぎ落とすだけそぎ落としながらも、エンタテイメント作品としての価値を維持する…そんな作品なんです。
すごいのは、この単調極まりないはずの映画を86分きちんとドラマティックかつ叙情的に魅せてくれることです。しかも、映像頑張ってますよ!とかごっつい演技してますよ!オレやってますよ!! とかいったてらいが一切ない。すべてが自然なんです。映画としては前代未聞の実験的かつ挑戦的な設定であるにもかかわらず、すべてを昇華している。すごい演出とすごい演技力とすごい映像です。
【トム・ハーディさんといえば…】
すみません(汗)ワテクシのイメージですとバットマンとかブロンソンとか欲望のバージニア、といった比較的最近の出演作のせいで、すっかりアクの強い役者さん、というイメージができておりましたが、ハーディさんの、アク取りシートですべてこし、”さっぱりしてるけど旨味はバッチリ残している肉じゃが”のような演技に、感動してしまいました。
ハーディさん扮するアイヴァンは、勤勉で誠実で、我々がよく知る人生を一生懸命、真摯に生きる男性でして。今ある幸せが自分にとってかけがえのない最高の幸せだとわかっている人なんです。ベインをやる役者さんが、このアイヴァンというキャラにとけ込み、同化していることが驚愕です。アクを取り除ける役者ってすごいです。
【というわけで…】
スムーズな日本上陸を願うがゆえに、(迷ったけど!)ハッキリ真摯に伝えておきたい…カーアクションやアクションスリラーを求めてこの映画を観ると、180%がっかりします。男のロマンを描くスリル満点の映画じゃないです。
(大文字で書いちゃったよ…汗 未来の配給会社さん、すみません)なので、いつか近い将来レンタルDVD屋さんの男のロマンコーナー(→アクション・スリラー、刑事もの、アクション・ヒーローコーナー、サスペンス)に置いてあったら、みなさまヒッソリと単館シネマ系コーナーへ移動してあげてください…。単館シネマで上映されるように心から願います!!
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