2014/11/19

マーティン・フリーマンが英人気コメディキャラクターによる音楽ネタのモキュメンタリーに登場します。


放送日は12月9日よりとなったそうです。

色々考えた結果、この番組について説明しようとすると、いつまでたってもマーティン・フリーマン情報までたどりつけず、きっと誰も読んでもらえなくなると判断しました。断腸の思いで、大幅にカットします(涙)

もともとBBCがウエブサイト上で新しいコメディを、と展開していたプロジェクトから生まれたキャラクター、ブライアン・パーン/Brian Pernと、彼が案内する音楽ドキュメンタリー、という設定で展開するモキュメンタリーから始まりました。2014年の始めに
BBC4にて新エピソードが放送。今回はその続編になります。リアルなミュージシャンやロックスターと、英国民中に絶大な人気を誇るミュージシャン・キャラ(注:リアルではない)がごちゃまぜ、リアルな英国ロック/ポップ史と完全なネタとごっちゃまぜにして展開するので、UK音楽に詳しい方のほうが、リアルとネタの区別がつきやすいと思います。

【このキャラを作った人は…】
英ベテラン芸人サイモン・ディ。90年代中旬から後半に英国中に大ブームを巻き起こした「FAST SHOW」というキャッチフレーズがベースのスケッチコメディ番組のレギュラーだった人です。また番組制作や共演者には、FAST SHOWつながりの芸人さんが多く名を連ねています。
ちなみにこの番組、ジョニー・デップの大ファンの方なら遭遇したことがあると思います。米ではまともに放送されていなかったのに、この番組があまりにも好きすぎて、出演を懇願し、ゲスト出演したというクリスマス特番エピソードがあるからです。




【ブライアン・パーン/Brian Pernのキャラについて】
昔EMIと4百万ポンドでレコード契約を交わしたものの大して数字が伸びなかった上に契約通りにアルバムを制作していない(カルト的人気の)プログレバンド、Thotchのリーダー。ロックの歴史を語る案内人として音楽ドキュメンタリー番組に出演し、契約について素知らぬフリしてきたけれど、ついにEMI側が怒って起訴する、とかいっておるらしい。どうも今回はこのThotchの(犬猿の仲の)面々が(イヤイヤ)集結=再結成し、Jukebox Musical (既存曲を用いてミュージカルを作ること。マンマ、ミーヤ!とかウィーウィルロックユーとか)の制作に入るっぽいです。そして、この状況をカメラが写すドキュメンタリー…という名のスプーフになります。

【修正:Radio Timesによるマーティンの役どころ】


だそうです。
このスプーフコメディの監督(で芸人さんなんですけど)リース・トーマスさんは昔からマーティンとよく知った仲。マーティンは激忙だから、まさかオファーにオッケーしてくれるとは思わなかった、と語ってますね。撮影は例のリチャードIII上演時期で、負傷してたときだったらしいですね。
しかし、この記事を読めば読むほど、完全にUKコメディファンの心をくすぐる内容っぽくて、早く観たくてしょうがありません。ジャック・ホワイトホール君とのからみもかなり楽しみです。放送は12月9日からだそう。マジで楽しみです。

2014/11/16

カンバーバッチさんのThe Imitation Gameは地球上にひっそり生息するカンバーバッチ病未感染者を根こそぎ撲滅する映画です

(注:あらすじは、eiga.comさんが書いている以上に書いてないです。アラン・チューリングさんについても書いたらネタバレになる、となったらコワいので書いてないです。というわけで、かなりネタバレにならないように気をつけてますが… 書いちゃってたらごめんなさい。もしだったら、警戒してください…)


あまりにも評判がよいのと、トレイラーですでに泣いていたので、公開の週末に無理矢理いってきました。

The Imitation Game



第二次世界大戦、ドイツナチ軍の攻撃を受けて大ダメージを受けるイギリスを守るため、天才数学者アラン・チューリングさんが選ばれた才能高き仲間とともに、ドイツ軍の作った暗号機エニグマを読み解こうとするドラマですね。彼はリアル・ヒーローなのか、それとも…?という緊迫の胸痛ドラマ。日本では2015年3月より公開されるとか?(ギャガさんの配給とか?)

本当は政治的観点からみた駆け引きの面白さや、政治的バックグラウンドを持ってしてわかる○○さんのこのセリフ、的なところをお話したいのですが、あまり細かく書くと「ネタバレテロ攻撃!」と怒られるという話をきいているので、喋らないでいようと思います(汗)とくに、アラン・チューリングさんについて話を書いちゃったら、ものすごく怒られちゃうんですよね? なので、だまります…
ただ、ですね。
メインは第2次世界大戦が舞台の話ですので、この時代のヨーロッパ政治、とくに誰が誰と同盟を組んでいたのは何を恐れていたからなのか、イギリスが「今そこにある危機」と「今そこにある危機よりもじつは恐れている危機」をわかっていたほうがすんなり登場人物の言動に納得できると思います。たしかにパーソナルな人間感情だけでも涙と鼻水がズズっとなる感動作なのですが、そんなメロドラマ以上に絶賛される理由の一つは、登場人物の肝心なシーンでの言動が戦中のイギリス(国際)社会政治がしっかり反映された上での言動にあると思います。
 
 また当時のイギリス社会、とくに女性の社会的地位や当時のタブー問題など、人と”違う”ということが、個性としてリスペクトされるどころか、イジメやScapegoat といったネガティブな結果を招くという事実…たしかに、現在でも決して珍しい話ではないですが、やはり刑罰を与えられるレベルだった当時は、現在の先進国ではあってはいけないとされる非人道的かつ不条理な社会ではないでしょうか。イギリスはここ最近色々と騒動が立て続けに重なり、とくに女性/ゲイ/人種差別問題に敏感になっているので、男性が暗号解読者の1人だったエリザベス(キーラ・ナイトレイさん)への失礼な発言をした際、「URGH!」「BOO!」といった声が一世に劇場内に響き渡っていました…

 ちなみに、この映画の原作者さんはアンドリュー・ホッジズさん。彼のウィキさん情報を拝見すると、この作品およびアラン・チューリング氏を非常に内側から理解して書いてらっしゃる方なんだなとわかる、そんな方のようですね。チューリングさんの思考回路にホッジズさんが同化しないと、この絶妙なユーモアやアイロニーそしてどん底の哀しみが幾重にも重なり合うレイヤーは生まれないのではないでしょうか。その原作を反映した素晴らしい脚本だと思います。[ 追記:Deadline.comでこの脚本が2011年のブラックリストだったという記事を発見しまして、映画のとあるシーンに壮絶にオサレな趣向が凝らされています!】 & 監督さんのモルテン・ティルドムさんはノルウェー出身でTVドラマで過去作品は少ないけれど、全部当ててる方ですね。(→未見ですみません)

 【肝心の?! カンバーバッチさんですが…】
単刀直入にずばり。カンバーバッチさん扮するアラン・チューリングさんなのに、アラン・チューリングとしてしか見れなかったのが、すごかったです。しかも、アラン・チューリングさんって、今までカンバーバッチさんがこなしてきた役柄やご本人自身の生い立ち、人となりをベースとして作り上げられた”イメージ”(→ファンの皆様の進化して加速し続ける想像からくるものも含まれます)と、オーバーラップする人でいらっさると思うんです。ああ、チューリングさんをカンバーバッチさんがやるのか、わかる。っていう、イメージのかぶり方だと。ところが、カンバーバッチさんがチューリングさんを食うどころか、チューリングさんの中に消化され、チューリングさんとして光りを放ち、魅力を発揮し、愛されキャラとなっていた。
いわゆるカンバーバッチさんブランドの「かっこいい」はまったくないんですよ。でも、コレ愛さずにはいられないでしょう。アラン・チューリングさんと喜怒哀楽を分かち合う愛を持たずにいられないでしょう。たしかに脚本が素晴らしい。けれど、前述のとおり、セリフに現れない「わびさび」がこの作品にはまき散らされている。それをすべて具現化するのは役者であり、カンバーバッチさんの静なる演技に、すごいな、と本当に思いました。

 【その他備考】
(ぼ、ボッソリ…)ろ、ローリー・キニアさんが何をやってもかっこいいです…。あ、あとマーク・ストロングさんってワテクシ 



これがディフォルト設定だと思ってたんですが、上に髪の毛が乗るバージョンってあったんですね!!! (汗)
マシュー・グードさんは、グッド・ワイフに出てらっさるようなので、人気なのかしら?とっても好感の持てる役でした…
あとですね、キーラ・ナイトレイさんは本当に美しくチャーミングだったです…。

とりあえず、こんな感じですーーー。

2014/10/11

北アイルランド問題を基盤に描く、アクション・スリラー&注目若手英俳優ジャック・オコンネルさんの新作「'71」観ました!

急性オコンネル病が発病しています。応急処置として、本日は2014年10月10日金曜日よりUK公開となりました '71を観に行って来ました。


【オコンネル病とは】
英国俳優ジャック・オコンネルさんのTVドラマ活躍時代に、そのドラマを観ていながらもほぼ認知できていないという特殊な体質の人間がかかる病気です。


事例を上げると、オコンネルさんの活躍作「This Is England [DVD] [2006] 」(*1)は監督シェーン・メドウズ目的で観賞、「Skins - Complete Series 1-7 [DVD] 」(*2)はS1-2の作家さんとクリエイターさんの作る世界にハマっていたせいで、テイストと世界の違うS3以降は2話程度で脱落。映画「Harry Brown [DVD] [2009] 」はマイケル・ケインさん目的で観賞しました。そんなわけで、オコンネル免疫ができていないんです。
こういうイメージや

こういうイメージがない。
(以上Rotten Tomatoesさんのサイトで発見しました。外にもいっぱいあるので、よろしかったらクリックしてください http://www.rottentomatoes.com/celebrity/jack-oconnell/

それは、予防接種をしていないということなのです。病気にかかってください!って頼んでいるようなものです。

というわけで、いきなりこういうものがスクリーンに飛び込むと、
(上記のスチール画像の元、Starred Up のトレイラーはこちら→ http://youtu.be/C4iseCjFnWk )

潜伏期間をおいて、いきなり発病します。

【対処法】
予防接種をしていなかったので、特効薬はありません。菌ではなくてウイルス性のものなので、自然治癒しかありません。とりあえず、症状を抑えるために、鎮痛剤を服用します。その鎮痛剤が今回の「'71」です。

長い前置きにおつきあいくださいまして、ありがとうございました。

いよいよ「'71」の紹介と感想をのべたいと思います。

【'71とは…】
イギリスで、このポスター画像と'71とみた人は「コレは北アイルランドでおきた英国軍が武装していない市民を襲撃したBloody Sunday事件がらみだな」とわかります。ご存知のとおりこの北アイルランド問題はピンポイント単発な話ではないですし、この問題を象徴するピーク的なBloody Sundayが起きたのは72年なのですが、まったく別の名作映画「Sunday Bloody Sunday」がおりしも71年に公開&あちこちで映画賞を受賞し大変有名となったため、71年=Bloody Sundayという印象がある気がします。そうした心理を巧みに使いこなしたタイトルなのではないでしょうか。

【お話は…】
ダービー出身の兵士ギャリーが所属する軍隊が、北アイルランドのベルファストで任務を遂行することになります。現場とは、英国軍、そして英国との連合維持を支持する北アイルランド政府による制圧や差別を受け、彼らを目の敵にするカトリック教のナショナリストたちが活発な活動を続ける住宅街。武装してない一般市民(女性子ども)の前で銃を構えなければならない。その間、連合軍が家宅捜査に入り、彼らを見つけて殴る蹴るのフルボッコです。その様子を目の当たりにした市民たちの攻撃がエスカレートし、暴動に。ギャリーはその最中に巻き込まれ、真横で仲間の兵士を銃殺されてしまいます。執拗に追いかけてくるナショナリストたちから逃れる間に、軍隊はその場を引き上げており、ギャリーは現場に1人取り残されてしまい…。

【感想】
ジャック・オコンネルさんファン世代/Skinsのファン世代は90年代生まれで北アイルランド問題IRAテロ問題など肌で感じていない世代だと思うんですよね。その人たちがスルッと理解して、作品に入り込める作品だったと思います。ほぼ冒頭、任務を通達されるときにギャリーたちが動揺し、隊長さんが「大丈夫、(海を越えたところで)ベルファストは英国なんだから。何も心配することはない」といったことを言うんです。これと、ギャリーたちに現場状況を説明するシーンがあるんですが、地図を出してどこがカトリック地域でどこがプロテスタント地域かビジュアルで見せてくれる。この2つで非常にクリアに当時の状況を把握できるんですよね。素晴らしい技術と思いました。
そして宗教そして政治的要素は、アクション/スリラーなストーリーを作る上での基盤として使用されており、北アイルランド問題自体に関するメッセージ色は薄めだったと感じます。当時の北アイルランドの複雑な関係がギャリーが置かされた状況を複雑にし、誰がアンダーカバーで、誰がナショナリストで誰が連合支持者なのか、2転3転させるのです。

(20年代のアイルランドの頃の話ですが)「麦の穂をゆらす風」や、(90年代のIRAのテロ活動ですが)「シャドウ・ダンサー」など今までこの問題を題材にしたものは、英国軍/連合軍に虐げられた環境と(様々な形で)戦うカトリックの人々の、苦悩を描く作品が多かったと思います。一方「'71」では、両方の立場を冷静に見つめた上での描写、かつ英国の兵士の視点で描かれている、という点で興味深かったです。この問題をテーマにして「ぎゃあ!コレ以上オコンネルさんを傷つけるシーンは無理です!」と兵士に肩入れするとか、新鮮でした…(→オコンネル病のせいかもしれません)

ハンディカム使用の息もつかせぬ激リアルなアクションシーン(注:激ブレです)、ときには目と耳を覆わずにいられない過酷で痛いシーン、ハードボイルドでした。レビューのキャッチだとNail-bitingとか表現されていますね。

ちなみに監督さんはChannel 4の話題作「Top Boy」の監督さん、脚本はスコットランド出身のグレゴリー・バークさん。

【備考】ダービー出身というオコンネルさんは映画でもダービー出身という設定になってました。

(*1)この映画は、監督の経験に基づいた、戦後イングランドの「ネオナチズム」の問題と矛盾の断片が赤裸裸に描かれているという点で、非常におすすめな一本です。
(*2)「Skins」はそれまで「ビバリーヒルズ90210」や「ビバリーヒルズ90210」など、高校生たちをめぐるドラマはアメリカの専売特許とまかせっきりだったイギリスのドラマ史上、数字だけではなくポップカルチャー史において快挙をなしとげたともいえる、超ビタースイート青春ドラマです。


2014/10/09

デヴィッド・フィンチャー監督ロザムンド・パイクさんxベン・アフレックさんxNPハリスさんの「ゴーン・ガール」Gone Girl観ました!


あーびっくりした!ググっても英語の情報しか出てこないから日本公開が未定なのかと焦りましたが、2014年12月12日より公開ですね! 上映時間がちょっと長いのが問題ですが、そこを除けば超超超おすすめです!

https://www.youtube.com/watch?v=Lq8gGN3eeUI



同名の全米ベストセラー小説が原作で、原作者が映画の脚本も書いてしゃいますね。原作のwikiさん情報を読む限りでは、ロザムンド・パイクさん扮するエイミーのキャラクター設定が違う気がしますが、実際に本を読んでいないので、信用しないでください。。。

【お話は…】結婚して5年の夫婦ニックとエイミー。5周年アニバーサリーの日、ニックは自分が双子の姉マーゴと共同経営するバーで、マーゴにぶちぶちと結婚の愚痴。すでに5周年を祝うほどロマンティックな夫婦仲ではないことが伺えます。とはいえ、記念日をお祝いすることに変わりはない上に、近所から「オタクのにゃんこが家から出てるよ」みたいなお知らせが携帯に入ってきた(んじゃないかと)というわけで、ニックは家に帰るわけです。家の前を歩くにゃんこをかかえ、お向かいのおうちに挨拶をし、家の中へ入るニック。が!エイミーがいない。リビングに置いてあったガラスのテーブルが粉々に破壊され、アイロンもスイッチがついたまま。

こ、コレは…「ちょっと出かけた」とは違うんじゃないか…?(汗)

ニックは警察に電話をし、警察は即やってきて事情調査に入ります。そしてエイミーの笑顔が飾ってある写真立てとAmazing Amyという人気童話シリーズのポスターをみた警察は「あら!エイミーってAmazing Amyのことだったの?!」と。そう、エイミーはAmazing Amyシリーズを描く両親の原案者でありモデルだったのです。エイミーがストーリーになりやすい人物だったからかどうかは観る人それぞれの解釈によりますが、そんなわけで、早々にエイミーの失踪は犯罪事件の可能性が高いとして記者会見され、捜査が始まりますが…

【感想】
あのですね、配給会社さんから「ジャンルをバラすな!」って怒られちゃうかもしれないですが…

緊迫のミステリー →(転じて)ブハっと吹き出さずにはいられないブラックコメディ→(転じて)泣く子も黙るブラックコメディ

ですわ。フィンチャーせんせいお得意の社会派なスリラー映画なのかと思ったら、先進国家庭ではおなじみのdysfunctional family 、メディア社会、とくに報道をめぐる虚像虚栄の世界を痛烈に皮肉っているフィンチャーせんせいお得意の社会派なザッツ!エンタテイメント!!な映画でした。こんなにブラックコメディだとは思わなかったです。例をあげてしまうと、この映画の2転3転するミステリーの部分や緊迫、それから登場人物の攻防戦がネタバレになってしまうので、全部口チャックしたいと思います。ホントにフィンチャーせんせいって重めのテーマで痛烈なこと描いてるのにエンタテイメントな映画作るの天下一品だと思います。ビッグバジェット映画ってこういうことをいうのよね!って思っちゃうわけです。
今絶好調なロザムンド・パイクさんも今あんな感じのキャリアとイメージなベン・アフレックさんも「だからこそ!」な適役で、すごくシンクロしてた気がします。ニール・パトリック・ハリスさんの出番と役柄もすごいスパイス効いてた(爆)言っちゃうとスポイルしちゃうので、言えないのが辛いですが!

というわけでぜひおすすめです。どうぞ観に行ってくださいー!

2014/08/11

次回のAERA ENGLISHのエンタテイメント系ページは大人が読んでも楽しめる童話&ティーン小説特集です。

次回AERA ENGLISHは10月発売予定です。楽しみながら洋書を読む、ということが英語でいっぱいの視覚的世界に慣れ、それが英語力アップに繋がる…というところから、
有名作家さんのインタビューを入れつつ、何冊かティーン&児童小説をご紹介します。


担当の編集者さんと「かっこいい」の定義の違いから、最高におすすめの童話を書いている俳優/作家マッケンジー・クルック君のインタビューとか写真などが…無理でした… が、作品だけは紹介したいと思っています。

また、マッケンジー君のQ&Aイベント内容の2/3くらいは以下にレポートしました。ご参考にして、ぜひ、ぜひ、ぜひ、購入をおすすめします。

http://www.gojohnnygogogo2.com/2014/08/edinburgh-international-book-festival-pr.html


2014/07/20

マーティン・フリーマン&ロジャー・ロイド・パック&三谷幸喜「The Last Laugh/笑いの大学」プログラムちょっとだけアップしました

絶賛時差ぼけ調整中につき、家の個人的お宝を掘り起こしています。
ちょっとだけですが、The Last Laughのプログラムをこちらにアップしました。

http://gojohnnygogogo.tumblr.com/post/92297425117/the-last-laugh-by-koki-mitani-adapted-by-richard

このお芝居についてはマーティン・フリーマン FLIX special でしっかりめに説明していたと思います。


2007年なので、ちょっとお顔がふっくらしてる感じですが…。


2014/07/19

マーティン・フリーマンがリチャード三世になって話題のシェイクスピア劇RICHARD III観ました

行きました。


http://trafalgartransformed.com/whats-on/richard-iii

もうすでに沢山の方がアップ&翻訳しているとは思いますが、お約束なのでプログラム



すみません、出待ちしてません…(汗)よってステキな画像がありません。以下、文字だらけになります。

【リチャード三世は…】
数あるシェイクスピア劇のなかでも大人気の演目の一つですね。自他ともにしょっぱなから認める”ワル”が主人公のホントにやると3時間以上をゆうに越す長時間のお芝居ですが、説明を入れるなど手が入り、観やすい尺になっていることが多いそうです。ワテクシが過去にみたことのあるリチャード3世も各プロダクション・バージョン、というものでした。
リチャード3世といえば、”マキャベリアン” の代表作(*1)とよく言われてますが、個人的にはこのマキャベリアンな特徴は、リチャード3世に特化しているわけではないかな、と思っています。とくにNT LIVEで今秋日本でも観賞可能であるOTHELLO で、ローリー・キニアさんの「この演目の主人公はOTHELLOじゃなくてイアーゴなんじゃないの?」もしくは「この演目のタイトル、OTHELLO じゃなくてIAGO なんじゃないの?」なイアーゴをみてからは、OTHELLOこそ超マキャベリアン、って思ってます。

(*1)ものすごく乱暴にまとめると、劇中でリチャード三世がやっていることを”王様とはこういうもんだ”と正当化しているマキャベリの”君主論”がよく描かれている、ということです。「極悪」「欲のためなら誰でも殺せる人でなし」=リチャード三世、というイメージの直結をすると”なぜThe Tragedy of Richard IIIってタイトルなの。自業自得でしょうに" と思われるかもしれませんが、そのカギはこの君主論にあると思います。(ちなみに読んでると、なるほどね〜、って思うんですよね、コレ…)

【ちなみに現実のリチャード三世は…】
シェイクスピアのせいで、実在したリチャード三世までとんでもワルなイメージがついてしまっていますが、じつはそんなことはないんだよ、という気の毒リチャード三世!な話は、こちらでどうぞ。(でも例の駐車場で見つかった骨の研究結果によると、せむしの痕跡はあるっぽい…)


【何はともあれ、まずは、渦中の”客層”と劇場内の”空気”について】
実際にお芝居を観るまではレビューは読むのを控えていたので、詳しく追っていなかったのですが、タブロイド紙や一般紙が「客のマナーがなってない」「芝居をみたこともないホビット・ファンが…」といった、芝居とは別のベクトルで眉毛をコイル巻きにし、批判をしていたようですね。
しかしながら、私が観たときの空気は、まったくもってして健康的でしたよ。ほかにお芝居を観に行くときにみえる光景、まったく変わらずでした。マナーに関しても、その前の晩に行ったCurious Incident of The Dog in the Night Time でのお客さんのほうが悪かったくらいです。(→超有名なお芝居になってしまったので、ロンドンに旅行に来た記念にウエストエンド体験として観劇している旅行者さんが沢山いるわけですよね)いわゆる批判されているような空気は、過去に超人気俳優さんの舞台をみたときに経験しているので、「批判するようなことは起きていない」という人たちに賛同です。

【Trafalgar TransformedのRichard III は…】
未来のディストピアを舞台に繰り広げたMacbeth、戦時中の共産主義(ロシア)の拷問を基盤コンセプトに展開したピンターのThe Hothouseを例にとってもわかるとおり、ジェイミー・ロイド氏のTrafalgar Transformedですから、正当派なリチャード三世なわけがありません(笑 ワテクシ、いい加減学びました。クラシック作品をもとに新しい作品つくリました、くらいな期待感でいかないとダメなんだ、ということを。(その意味では、シェイクスピア劇を初めて見る初心者用ではなく、むしろ、芝居好きのセミプロ、もしくはプロ仕様のお芝居というダブルスタンダードなんじゃないかと思っています。)

そんなわけで、リチャード三世が、ディストピアンなイギリスで起きた架空の軍事クーデター、という設定、そして冒頭で登場人物たちがガスマスクつけて登場しても、「ぷ、お約束」とか笑えました。(ところでガスマスクって高いプロップなのかしら。モトをとる目的で、ジェイミー・ロイドってガスマスクの使い回ししてたりして… (違)

すごくテンポのよいリチャード三世でした。感覚的な話ですが、お芝居の毒の部分が重力ではなく、風力で演出されている感じ。斧や鈍器で殴られるのではなく、小刀でシャっと首筋切る感じです。そしてコレってジェイミー・ロイドの”色”なんじゃないかと思います。を見事に具現化できたのは、マーティンだったのではないかと思います。マーティンが、粋でシャープで毒のあるシャベリをするときがありますよね。あの部分が反映されてる舞台な印象を受けました。

もとアラン・カミングのプチ相方(注:キャリタ的な話です)で、Trafalgar Transformedのマカヴォイ君のマクベスでバンクオを演じてた実力派俳優フォーブス・マッソンのヘイスティング卿がお気に入りです。エドワード王の息子を王位継承者として支持するという一見普通のことをした結果逮捕されちゃうというブラックコメディの味をぴりりと出していて、本当にウマいです。また、「ノッティング・ヒルの恋人」「ひかりのまち」などでも有名なジーナ・マッキーのエリザベス(エドワード4世の奥さん)が素晴らしかった! 特に後半、芝居のペースを調整してくれてたのは、彼女だったのではないだろうか、とかブチブチ思ってます。

【一つもにょもにょいいたいことがあるとすれば…】
ぶっちゃけていいます。軍司令部オフィス内でほぼ全編展開するということの、無理感です。いや、役者さんたちの上手な演技のおかげで、フィジカルなソリッドシチュエーションの舞台にも別の時空間を作り出してはいたのですが、何しろ、デスクがでっかいんです。しかも会議用のでっかいデスクを2つも置いてるんです。結構な人数が出たり入ったりする劇&動き回るスペースが狭すぎて、なんだか窮屈に感じました。立ち回りでデスクの上や下を飛び回るのは、かっこいいんでアリなんですが、全体的にスペースがないので、シャープ感や迫力が…(汗)

今さらの説明で恐縮ですが、舞台は通常の劇場と一風かわったフリンジスタイル?で、舞台後ろにも客席を設けているんですね。舞台の延長上に後席がある、という感じです。つまり舞台の正面向いて役者が演じると、後席からはその役者の後ろ姿が見える、ということです。
こんなに舞台の空間余地がないなら、この席をとっぱらおうとかなかったのかしら…。と思ってしまってます。しかも、
MacbethやThe Hothouseよりも席数が多い気がする…。Macbethは後席3列くらいじゃなかったでしたっけ???(違いましたっけ?)Richard IIIの後ろ席数6−7列くらいあった気が…。(要確認です。同じかもしれません!)

【とはいえ…まとめ】
とはいえ、ですね。楽しみました。2014年7月19日現在まだチケットは入手可能のようですので、機会がありましたら、ぜひお試しください。http://www.atgtickets.com/shows/richard-iii/trafalgar-studios/


2014/06/17

2014年エディンバラ国際映画祭の目玉の一つ!イライジャ・ウッドxダウントン・アビーの監督「Set Fire to the Stars」


https://www.edfilmfest.org.uk/films/2014/set-fire-to-the-stars

今年のエディンバラ国際映画祭の目玉の一つはこのSet Fire to the Stars. イライジャ・ウッドと ダウントン・アビーでいくつもエピソードを監督しているアンディ・ゴダード監督がタッグを組み、ウエールズの天才詩人ディラン・トーマスと米詩人/批評家ジョン・マルコム・ブリニンの関係を描く…作品です。まだ英国でもリリース日が決定しておらないのですが、その内容もまだはっきりしかわからず、非常に注目! イライジャ・ウッドのファンの方は、6月23日ー4日にイライジャがやってくるので、ぜひご注目ください。

2014/05/29

大絶賛のロンドン、ウエストエンドのお芝居「1984」は絶対に観て欲しいです。なぜなら、この恐怖はまさに昨今の日本にもあてはまるからです

オフウエストエンドで上演され、大絶賛を浴びていた1984 がウエストエンドのPlayhouse Theatreにトランスファー。相変わらずの大絶賛のため8月までやってます。
チケットはこちら↓
http://www.atgtickets.com/shows/1984/playhouse-theatre/

毎日101枚(笑)ディスカウント販売しています。(チケットの値段自体は20ポンド弱!)円安かつチケットのなんとなくなつりあがりが見える昨今、この安さでこんなすごい舞台を観てしまったことに今や罪悪感です。

アルメイダで上演されていたときのサイトはこちら。
http://www.almeida.co.uk/event/1984we

タイムアウト誌で場面写真が結構掲載されてます。
http://www.timeout.com/london/theatre/1984-3


【1984:ご存知、ジョージ・オーウェル原作のアレです。】
文系を専攻した方は、どこかで必ずぶつかっているのではないでしょうか。ジョージ・オーウェルの1984を舞台化しています。マンガも含め邦訳も沢山出ており、どれがお勧め訳なのか?で、すみません。原書が難しいということは特にないかと思うのですが、マルクス主義や資本主義など社会哲学や政治哲学の知識が英語で入ってないと、もしかしたら読みづらいかもしれないので、今回は原書をおすすめ!といわないでおきます。

一九八四年

あと、テリー・ギリアムの未来世紀ブラジル [Blu-ray] がこの作品にインスパイアされていることで有名ですよね。

【お話は…】
とても簡単に概要できるレベルの物語ではないので、今回鑑賞したお芝居と関連して書きたいと思っている部分に特化させてください。

今私たちが慣れ親しんでいる社会に革命が起き、色々とシステムが変わってしまっている近未来(1984年)にて東アジアと戦争中の”オセアニア”(架空)が舞台ですね。ウインストン・スミスという”真実”省に勤務するお役人さんにスポットをあて、描かれていきます。”真実”省で何をしているかというと、過去の記録の修正です。公的”事実”として認証されてきたことが次々に変わるので、過去の記録を”新事実”どおりに記録しなおさなければいけない。「前はこうやって知られて来たけれど…じつはホニャララだった」ということではなく「(前から)ホニャララだった」とするんですね。
個人的に記録を残すことや、公的な事実やルールにとはことなる感情を持つことは固く禁じられており、見つかると逮捕されて、”消されてしまうとか。実際消えている人は沢山おるのですが、消えた人たちがどんな経緯でどのように消えるのか、どんな目に遭うのか今イチわかりません。漠然とした恐怖と背中合わせななか、ウインストンは日記をつけたりしています。なぜなら、ウインストンは自分が憶えている事実がある日突然なかったことにされていることがどうしても納得いかないから。オセアニアの戦争相手も4年前は東アジアじゃなかったのです。ユーラシアだった。それがある日突然東アジアが戦争相手になっていた…ずっと東アジアと戦っているという事実になっているのです。そしてそれに対して誰もアレ?って思う人はいない。なんとかして後世に伝えられないか、…という気持ちがあるからです。で、結構早々に日記をつけていることがバレちゃいます。どこもかしこも監視カメラ状態のtelescreenがあるから容易いことなんだと思います。
”人を好きになる”という感情も完全にお役所にコントロールされています。お役所は愛とか欲望とかは、世の中の秩序を乱し、戦闘のエネルギーを奪ってしまうものとして、徹底的に排除します。結婚も子づくりもすべて監視のもと。女性の多くは反セックス・リーグに加入しておるんですね。
そんなある日のこと、ひときわガチガチの政府サポーターでウインストンが苦手でしょうがないジュリアという若い女性がですね、ウインストンにメモをコッソリ渡すんです。ウインストンはジュリアがThoughtCriminalを見つけるスパイだと思って、そのメモに超恐怖を憶えるんですが、そのメモに書かれていたのは「I Love You」…ジュリアはじつは忠誠を装った反逆児だったんです。同じ匂いを感じ取り合った2人は密会をはじめますが…。

【お芝居は、インターバルなしのノンストップザ・恐怖!x2時間弱】
前述のとおり、原作は幾重にも重なったテーマが沢山あるせいか、”社会のシステム”とくに”情報社会”の恐怖に焦点をあて、とてもコンパクトかつ観客を絶望のどん底に陥れる恐怖のローラーコースターな展開でした。だから休憩なしの一気に2時間弱全力投球です。(観客は。。。疲労困憊 汗)
この結果的、原作の真髄を抽出した最善の形だったのではないかと思ってます。原作は執筆当時の政治社会的環境を盛り込んでいるので、第2次世界大戦頃のイギリスの物品支給システムやソビエトのスターリン主義をビビッドに彷彿とさせる描写があます。そしてそのせいで、ある特定の政治、社会についても考えさせられる内容になっています。しかし、それよりさらにマクロなレベルでの社会哲学として考えやすい作品になっていました。

具体的にどういうことかというと、我々が生きるこの現代社会に、いかにあてはまる話であるか、ということが響いてくる身の毛もよだつホラー芝居だったということです。それは、例えばスターリン主義やフセイン政権といったわかりやすいTotalianismだけではなく、日本社会も含まれるのです。だって、ウインストンが体験する「事実が塗り替えられる」一つをとってみても、震災以降で考えてもよくある光景じゃないでしょうか。 例えば今まで●●な数値だった上限の、ケタ数がある朝突然変わってしまう。そしてそれをそのまま受け入れる、とか。どれをどのように信じるという選択肢は多少あるにせよ、情報のコントロールがされていることは事実です。コワいのはソレがどれくらいコントロールされているものなのか。どれが本当なのか。”公表”とか”正式”ってどれだけ信頼できるのか… そして、例えば何かをうたがい始めたことが知られたときのリスクは、例えばSNSでの問題沙汰一つとってみても、かなり身近な話であります。

考えれば考えるほどウツです。ええもう、鬱真っ逆さまです。

【ウインストン役のサム・クレインさんが素晴らしかった】
言いたいことから先に言ってしまうと、この芝居でウインストン役をやっているSam Craneさん(→Desperate Romantics/SEXとアートと美しき男たち[PAL][英字幕のみ]のフレッドだった人)の、コテンパンに痛めつけられる瀕死のイケメン希少生物な姿に、すっかりポッとなってしまいましてん。
うわっ、かっこいい!
http://www.imdb.com/media/rm58099968/nm0186424より、お借りしました…)

また、このお芝居でクレインさんは「アレ?ウインストン、もしかしてthought crimeの常習犯?」と推測できるような、斬新な演技をしてくれているんです。もともとウインストンが若くて繊細草食男子イケメン、っていうイメージなのが大胆かつ斬新っちゃー斬新なのかもしれないですが、コレはぜひ、ご鑑賞になって、ご確認してください。ホントに、こういうビョーキすぎて死にそうなインテリイケメンってめっちゃくちゃ魅力的ですよね。とくにクレインさんご本人、ウィキさん情報によると芸能一家のご子息さんで、ご本人オックスフォード大学卒の超名門ドラマスクール卒と、もうドン引きしたくなるくらいの、インテリイケメン俳優さんだったですね。

お宝!お宝発見!

って感じですね。(→不謹慎すぎ。身の毛もよだつホラーとかいった前述の話がまったくウソにきこえてしまいそうです…汗)

ちなみに、この「ウインストンは常習犯だったのかどうか」について、あまりに気になったので、クレインさんご本人にきいてみたところ
「解釈はいかようにも。君はウインストンだよ」と、身の毛もよだつ御丁寧なお返事をいただきまして(恐)はい、もう完全にファンになりました。

というわけで、ぜひ、機会があったらご覧になってください!!(しつこい)

2014/05/17

マイケル・ファスベンダーさんがかぶり物をするビタースイートなセンシティブ映画「Frank(フランク)」のお話を作ったJon Ronsonさんによる制作秘話トーク概要

昨日のツイートの補足です。

映画がどれだけ面白いかの、ちょっとしたツカミにもなるので、アップすることにしました。

【ことのはじまり部分は本当に実話だった!】
Jon Ronsonさんは実録ジャーナリストとかコメディ系の小説、というイメージしかなかったのですが、この人もともと、大学内のライブ会場のブッキングマネージャーだったんですって。それでFRANK SIDEBOTTOMをブッキングしていた、と。ところが、当日「キーボードが倒れたんで、ほかにキーボードを見つけられなかったらライブはキャンセル!」って電話がかかってきた。ドタキャンはこまりますよね。そこでジョンさんは音楽活動もやっていたので「キーボード、僕ひけるけど…」っていってみた。そしたら「オッケー!じゃあ君がやって!」といきなりバンド加入命令(笑)しかしジョンさんはFRANK SIDEBOTTOMの曲を演奏できるどころか何も知りません。
「いや、曲の何一つ知らないから無理なんじゃ…?」と答えると
「Do you know C, F and G?」
とフランク。
「そ、そりゃできるけど…」
「じゃあ、弾いて〜!」

というわけで、FRANK SIDEBOTTOMのキーボードプレーヤーになったんだそうです。ロケーションは異なりますが、ここのやりとりは映画できちんと描かれており、まさかの実話(笑)

ちなみに、FRANKは映画ではかたくなにかたくなにかぶりものをとらないんですけど、実際はもじもじしながらかぶりものをとっていたそうです。

【FRANK制作のいきさつ】
この映画の制作や本の出版の話が、実在のFRANK SIDEBOTTOMの中の人、Chris Cievy さんがガンでおなくなりになった後だったこと、そしてこの制作内容について公開時期まで全然漏れてでてこなかったので、正直「FRANK SIDEBOTTOMのトリビュート」、という意味や「FRANK SIDEBOTTOMをモデルにした架空のお話」という意味が今イチピンときていませんでした。しかし、このトークをきき、すべてはクリス・シーヴィーさんと一緒にずっと考えていたお話だったということが判明。さらにはクリス・シーヴィさんの強い意志により、FRANK SIDEBOTTOMおよびシーヴィーさんのバイオグラフィー的な要素を持たないようにしたんだそうです。故に、かぶり物もするし、モデルではあるんだけど、(ジョンさんの実体験であるつかみ部分をのぞいては)フィクションの世界なんですね。すごく納得できました。お話はFRANKの中身とかぶり物をした表がかなり一心同体となっています。(→リアルはそこまで融合していない)そしてリアルのFRANK SIDEBOTTOMに存在するアーティスト魂を押し拡げて膨らました、っていう感触です。

【ちなみに…】

ジョンさんはほかにもベストセラー作品を沢山執筆している作家さんで、ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガーが出演した
The Men Who Stare at Goats
実録・アメリカ超能力部隊 (文春文庫)
の原作とかも書いてます。
原作の英語はそんなに難易度高くないと思います。ぜひトライしてみてください…!

2014/05/04

ピーター・カパルディさんが12thドクターのため、過去のブログ記事を移動しました→マルコム・タッカーさんとツーショット写真を撮りました。☆The Lady Killers 番外編

(ねんのため☆マルコム・タッカーさん=ピーター・カパルディさん扮する国民的人気のキャラクターです)


2005年からマルコム・タッカーさんを通じてピーター・カパルディさん命と騒いできた1号です。2.5年前にカパルディさんのお芝居を観に行ったときのカパルディさん体験を誰も読まないコメディ・ブログでアップしていました。カパルディさんが12thドクターになり、世界的の注目度が激増したので、日の目をみていなかった記事をこちらに移動し、いかにカパルディさんが素晴らしい、ドクターをやるにふさわしい方なのか、お伝えしたいと思います。(以下は2011年12月の出来事です)

「The Thick of It」でボン◎ラ政治家のボロを隠し、ヘマを人になすりつけ、政府の体面を保つため24時間戦うマルコム・タッカーさんを演じ、カリスマ的人気を誇る英国のトップ俳優、ピーター・カパルディさんを「The Lady Killer」にてナマ鑑賞いたしまして。
 壮絶、この世のものとは思えないほど、あまりにかっこよすぎて、どうしても、どうしても
「ひとめ会って、大ファンだと伝えたい!!!」
という衝動にかられてしまいました。超一匹オオカミで、出待ちをやってしまいました...

(とかいって、劇場に行く前に油性マジックを購入していたのですが 汗 やる気満々。。。)

 正直、女子が出待ちしたくなるような出演者がいないので、出待ちしているファンは少ないだろうな、とある程度覚悟してました。それにしても、ちょっとはいてくれないかな、と願いを込めてですね、公演終了後、裏手にある楽屋前に足を運んだらば。。。。



おじ(い)さん、3人。






以上です。(涙)


ちなみに、
おじ(い)さん3人のうち一人は、アーティスト写にサインをもらってそれを売って商売をしている「その道」の人です…。

これにプラス極東出身の1号です。
ロンドン、ウエストエンドのど真ん中、おしゃれSOHOに面した楽屋出口前にダダ漏れてる空気がどんなものか、容易にご想像できるかと思います。

と はいえ、おじ(い)さんたちはとてもやさしくてですね、私はカパルディさんオンリー狙いだったのですが、ほかの役者さんが出てくると、「ほら、この子のに もサインをしてあげておくれよ」と私のパンフをとりあげてサインを集めてくれまして(汗)「気を弱くしていると、みんなすぐいっちゃうよ」なんてアドバイ スしてくれて(汗)はあ、ありがとうございます。

そんなわけで、もらうつもりじゃなかった、ベン・ミラーのサインがここに。(失礼すぎですみません…)


【そしていよいよ カパルディさんに!!!】
 ほかの役者さんは、歩きか食事をしてから帰るのか、さっさと出てきて徒歩でSOHO地区へ消えていったのですが、カパルディさんはタクシーでお帰りになるとかで、タクシーが到着する30分~1時間後に出てくる、という話。サインを集める業者の人は「そんなに待ってらんないから、となりの劇場へ行ってくる」って行っちゃって(涙)。ただでさえ4人しかいなかった出待ち人数が、3人に。(号泣)

 しかし、ここまできたら引き返せません&おじ(い)さんたちとも仲良くなっちゃったので、全然待てます。
  おじ(い)さんの一人はその日が誕生日とかで、パーティを開いてお友達とパブで飲むよりも、自分のご褒美として大好きなお芝居をたくさん観に来たほうがい い、とマチネではリチャード3世、夜はthe lady killersとハシゴしたんですって。おじ(い)さんのお芝居鑑賞への情熱にしみじみしていたところ、

か、か、か、カパルディさんが!!! 

黒いコートに身を包んで超かっこええ(涙)(*こういう一連のかっこええ姿をご想像ください。ホントこんな感じでした。)

カパルディさんは、出るなり私ら3人に囲まれ、一瞬目が泳ぎました。はい、泳ぎました。しかし、すぐに「サイン?」といって、おじ(い)さんの差し出すパンフとペンをとり、さらさらっとサイン。
そしてガッチガチに硬直しておった私にもにっこりわらってサインペンをとってくれて、「名前は?」って喋ってくれたんですよ~~~~!!!

ぎゃああああああああああああああ!(→脳内爆発)

(ちなみにいただいたサインはこちら)

とにかくファンだと伝えなければと、
「すんごいすんごいすんごいファンなんですっ!!!」
っていいました。
さらに
「The Thick of Itも大好きです! 日本で来年(注:2012年)からついに放送されるんですよ!」って伝えました。
そしたら、カパルディさんは、(やっぱし)日本で放送されることはご存じなく、
「本当? それはすごいな~。翻訳とっても大変だろうね」と!! さーらーに、「日本での放送、楽しみだなあ。」と!!

サインと話ができただけで感無量だったのですが、ワタクシが片手に持ってた携帯をみて、カパルディさんは「写真撮らなくていいの?」(注:待ち人数がゼロに近かったからめぐってきた幸運としかいいようがありません)
 
【というわけで、まさか、まさかの、カパルディさんとの夢のツーショット撮影に!】


が。


そう簡単に願いは達成されません。

出待ちの仲間はおじ(い)さん2人。
そのうちの1人にシャッターを押すのを頼んだのですが、スマホ携帯の使い方がわかんねえ。
何回説明しても、レンズを指でカバーし、画面を親指でぎゅーっと押すんです。

 3回やってもダメで、もう諦めるしかないと思った矢先のことです。
 カパルディさん、なんと、ちょうど楽屋から出てきClive Rowe氏に「ちょっと写真とって」と指令
 (注:Clive Rowe =モスキャラ的存在の役を演じたオリバー賞受賞のあの人です 汗)クライフは「ええつ?オレがなんで?」といわんばかりの不機嫌顔です。(当たり前だっつ~の 汗)
しかし、カパルディさんの指令なので、やるしかありません。というか、返事をする前に、カパルディさんから(私の)携帯を渡されて、撮影カメラマンになるしか道がない状況です。
 (ちなみに、あえて客観的にみた私を説明するならば、欧米の演劇界にすかしべをふっかけといて、「やったのは私じゃありませんよ」と知らん顔しているような感じだと思います。。。)

そんなわけで、芝居の人気をかっさらったオリバー賞受賞俳優を使いっぱにして撮影したタッカーさんとのツーショットはこちら。

photo: C.ロウ。。。


ツーショット撮影無事終了後も、にっこり笑顔で「ありがとうね~。じゃあね~」とタクシーに乗り込むまでにこやかに応えてくれたカパルディさん。
ホントに、むちゃくちゃ腰が低くてフレンドリーで、とってもファンに優しくて、ホントにホントに最高です!
もう死ぬまで大ファン。いや、死んだ後も、日本一のファンでい続けます地球最大級に愛を捧げます

2014/05/03

ディハーンさん&ラドクリフさん共演のキル・ユア・ダーリング/Kill Your Darlingsは、せつないロマンス映画以上の、知的映画です!

何しろ信仰宗教がパンクなものですから、ビート・ジェネレーションときけばマスト視聴になります。が!トホホな事情で英国公開当時に観のがしてしまい、今に至りました…。


キル・ユア・ダーリン [DVD]

(ちなみにこのキャッチ・コピーは、ちょっと映画の焦点とずれてると思ってます…。)

もうみなさん字幕付きで御視聴可能ですが、トレイラーもはっつけときます。

【お話は…】
ご説明するまでもなく、20世紀のアメリカ文学を語る上で必要不可欠なビート・ジェネレーションの初期メンバーの面々の出会い、活動、そして彼らの関係について描いているわけですね。

【せつないロマンス映画に、ビート・ジェネレーションの哲学が盛り込まれ、わかりやすくまとめられている】
メロドラマなのかな、とちょっと不安をかかえてたせいか、正直、かなり、驚きました。ビート・ジェネレーションについては、「ワールズ・エンド〜酔っぱらいが〜」のサントラのウンチクくらい簡単にはまとめられそうもない話じゃないですか。一方この結成時の話や彼らの関係は、のちに「Naked Lunch(ウイリアム・バロウズ)裸のランチ (河出文庫) 」「On the Road(ジャック・ケルアック)オン・ザ・ロード (河出文庫) 」「Howl(アレン・ギンズバーグ)ギンズバーグ詩集 」など絶対に死ぬまでに読んでおきたい異色の名作へと繋がっていく肝のところなわけですよね。そこがきちんと描かれている。何にうんざりしていたのか、何をやろうとしていたのか、何に影響を与えられたのか、何を生み出したのか…例えばですね、しょっぱなの図書館シーンでルー(→ディハーンさん)が、米国では60年代になっても性的表現がキツすぎると禁断だったヘンリー・ミラーの34年作「北回帰線北回帰線 (ヘンリー・ミラー・コレクション) 」からの引用をし、またそこが、アレン(→ラドクリフさん)とのビビビな出会い(→死語 汗)とかけている。
無駄がありません。

 またこちらも比較的冒頭の、授業中の教授とアレンとのやりとり。"Rhyme, meter, conceit. Without this balance, a poem becomes slack, sloppy. An untucked shirt."
 詩には韻律がなければ、だらしがなくなる。と講義する教授に韻律が嫌いだったホイットマンは?とアレンがツッコミ。さらに詩人である父親が韻律を使う理由は(そうすると)簡単だから、と。対して教授が「創造は模倣から始まる」とピシャリと言い捨てるわけです。冒険せず、習慣/慣習/社会の風潮にならい、流れのままに生きることを常とする米社会vs そんなのクソクラエだぜ、なパンク精神(ルーたち)の図式が見えるわけです。そして時代がら、この図式が本作のせつないロマンスにも通じている…。ビート・ジェネレーションの説明を大変魅力的に、無駄なくわかりやすく描いていると、ちっと感動してしまったわけです。


【敏腕編集者と踊らされるライターの力関係がよくわかる作品】
 こ、こちらは、超備考です。編集者さんは、ワテクシのような、たとえどんなに売れないヘボいライターも、持ち上げてくれるんです。自分の欲しいブツ(→原稿)を手にいれるために、すごく気を使ってくださいます。んで、なかには、仕事が終ると、あんたみたいなカスにつきあってる暇はないわ、って態度で示す方もいらっさるわけです。この頃のルーはまだ編集者じゃなかったわけですが、もう完全に立ち位置が編集者ですよね。ライターが必要なんだ、イイモノ書いてもってこい。って才能あるライター、アレンを上手に転がす感じ。アレンが手段を選ばす頑張って出来上がった詩を持ってって、ジャックがThat was beautiful, kid. ルーが You wrote that? んで、アレンがYou asked me to. ぶっは〜〜〜!! うーん。共感!(違)

【脇の俳優陣について特記したいこと】
アレンのお父さん役を演じるのがDavid Crossだったのを認識した冒頭で、私はこの作品はオサレだ、と思いました。デヴィッド・クロスは米の芸人さんであり、作家さん、転じて俳優さん、なのですが、活動が主流と別を行くエッジでパンクさで有名なのです。(ちなみにTVは(伝説の)ベン・スティラー・ショーに作家として参加したのがデビュー戦。)そして6人の俳優がボブ・ディランを演じて話題となったアイム・ノット・ゼア [DVD] 憶えてらっしゃいますでしょうか? あそこで、アレン・ギンズバーグ役を演じたのがほかでもない、デヴィッドなんですよね。なのでこの配役、ホントオサレだと思うんです!

もうひとり、ルーと”特別”な関係にあるDカマラー役が「デクスター」のマイケル・C・ホール。微妙に役がぶってて、コレもオサレって思っちゃったのですが、ココは個人差があるかもしれません…汗

そんなわけで、この作品、ホント面白かったと思います! 

2014/04/30

トム・ハーディさん主演の超話題作「Locke」はすごい!すごい映画です!

イースタン・プロミス [DVD]とかDirty Pretty Thingsとか、(カンバーバッチさんが出演している→)アメイジング・グレイス [DVD] とか、最近ではPeaky Blindersで英国エンタメファンを骨抜きにしている脚本家さんスティーヴン・ナイトさんが、脚本&監督している「Locke」。ものすごい絶賛に絶賛されまくっております。
主演はトム・ハーディさん。
トレーラーはこんな感じ。

とにかくPeaky Blinders以来、スティーヴン・ナイト、ときくと、ゴキブリホイホイの匂いを嗅いだゴキブリのように吸い寄せられます。そんなわけで、鑑賞させていただきました。

【物語は…】
家族円満、仕事も充実、と順調な人生を送る建設マネージャーのアイヴァン。大規模なプロジェクト目前の夜、彼のもとにかかってきた電話により、順調だった彼の人生に異変がおこります…

【圧巻すぎる!逃げも隠れもごまかしもない、86分本当に車を運転してるだけ!】
 いやもう、びっくりしました。この映画、ロンドンへ車を走らせるトム・ハーディことアイヴァンが、あちこちに電話をしたりあちこちから電話がかかってくるだけなんです。86分。ホントにそれだけなんです。
ウソじゃないんです!!(涙) (→何に訴えてるのかわかりません…)

ホントにホントにホントに、1時間半近くもの間、大画面スクリーンでハーディさんと、ハーディさんの運転する車と、夜に高速道路を走る光景しか映りません。サービス・ステーションとかに入って休憩もしないです。(休憩なんてしてられない状況があるんですが 汗)運転しながらひっきりなしに電話で話してるだけです。

そんなわけで、写すアイテムがものすごく限られています。声の共演はあってもビジュアルでの出演者はハーディさんことアイヴァンだけです。ひたすら、制限速度を守り高速をつっぱしるアイヴァンの姿だけ。しつこいようですが、休憩もしないし、ほかの車と接触がないので、エキストラもほぼゼロに近い状態です(→ひとっこ1人いない、と書こうとして、ほかの車を運転している男性が一度きちんと映り込んだことを思い出しました…)
ビジュアル的に映画で期待されるであろうドラマティックな見せ場をそぎ落とすだけそぎ落としながらも、エンタテイメント作品としての価値を維持する…そんな作品なんです。
 
すごいのは、この単調極まりないはずの映画を86分きちんとドラマティックかつ叙情的に魅せてくれることです。しかも、映像頑張ってますよ!とかごっつい演技してますよ!オレやってますよ!! とかいったてらいが一切ない。すべてが自然なんです。映画としては前代未聞の実験的かつ挑戦的な設定であるにもかかわらず、すべてを昇華している。すごい演出とすごい演技力とすごい映像です。

【トム・ハーディさんといえば…】
 すみません(汗)ワテクシのイメージですとバットマンとかブロンソンとか欲望のバージニア、といった比較的最近の出演作のせいで、すっかりアクの強い役者さん、というイメージができておりましたが、ハーディさんの、アク取りシートですべてこし、”さっぱりしてるけど旨味はバッチリ残している肉じゃが”のような演技に、感動してしまいました。
ハーディさん扮するアイヴァンは、勤勉で誠実で、我々がよく知る人生を一生懸命、真摯に生きる男性でして。今ある幸せが自分にとってかけがえのない最高の幸せだとわかっている人なんです。ベインをやる役者さんが、このアイヴァンというキャラにとけ込み、同化していることが驚愕です。アクを取り除ける役者ってすごいです。

【というわけで…】
スムーズな日本上陸を願うがゆえに、(迷ったけど!)ハッキリ真摯に伝えておきたい…カーアクションやアクションスリラーを求めてこの映画を観ると、180%がっかりします。男のロマンを描くスリル満点の映画じゃないです。
(大文字で書いちゃったよ…汗 未来の配給会社さん、すみません)なので、いつか近い将来レンタルDVD屋さんの男のロマンコーナー(→アクション・スリラー、刑事もの、アクション・ヒーローコーナー、サスペンス)に置いてあったら、みなさまヒッソリと単館シネマ系コーナーへ移動してあげてください…。単館シネマで上映されるように心から願います!!




2014/04/22

主な出演者マーティン・フリーマンさん&ビリー・ボブ・ソーントンさん、コーエン兄弟の超名作をベースにした米TVシリーズ「Fargo/ファーゴ」が傑作な件に関する雑記

米FXTVより2014年4月15日から放送開始となったTVシリーズFargo。コーエン兄弟の制作による1996年の名作映画「Fargo」をベースとしたドラマを
マーティン・フリーマンさん、ビリー・ボブ・ソーントンさんがメインキャストとして出演するということで、放送前から大変注目を集めているTVシリーズですね。英国では、米国よりもちょっと遅れて4月20日よりChannel 4 にて放送が開始となりましてん。コレに関してアレコレ浮かんだことをメモしておきます。みなさまお楽しみにしていると思いますので、あらすじには触れませんのでご安心ください



【これまでのお話】
イヤ、正直ですね。コーエン兄弟の映画「Fargo」現役世代で、今までいわゆる「リメイク」とか「リ・イマジネーション」とか言われる作品で、少なからずイタイ目に遭って来たエンタメ・ファンは、尻込みをするか、心の準備を周到にしてから慎重に視聴に挑むか、周囲の反応を観てから視聴するか、といったリアクションだったのではないかと思います。それだけコーエン兄弟の「Fargo」はすごい作品なのです。
ファーゴ MGM90周年記念ニュー・デジタル・リマスター版 [Blu-ray]
身の毛もよだつ恐怖と思わずブハっと笑ってしまうユーモアが肩を並べて共存する世界。アレだけの作品を”ベース”にわざわざTVシリーズをこさえる意図と価値はあるのだろうか…。1号も制作のニュースをきいたときから眉毛がコイル巻でした。TVドラマFargoはそんななかでの、放送スタートでございます。

【Fargoとは】
超の上をいく名作「Fargo」のおかげで、すっかり「Fargo=コーエン兄弟の映画Fargo」というイメージになっている印象がUrban Dictionaryから見受けられますが(少なくとも、人生でアメリカ滞在期間のべ10日間しかない1号は、FargoときくとUrban Dictionary通り、スティーヴ・ブシェミが雪のなかでぼやきながらホニャララしている絵図をまっさきに思いうかべます)
ところがですね、第1話を観はじめてすぐに、そうだ、よくよく考えたらFargoって、ノース・ダコタの町の名前だったんだ、と実感できる内容だったんですよね。コレはコーエン兄弟の映画「Fargo」ではなく、コーエン兄弟の作り出した世界を抱えたノース・ダコタの町「Fargo」に住む人々のコーエンちっくな物語(→…こ、こわ〜〜〜い…汗)なのだ、と。そうしましたら、

Fargo is an American television anthology dark comedy-crime drama series created by Noah Hawley based on the 1996 film of the same name written and directed by the Coen brothers. (wikiさんより

の意味がストンと理解できましてん。さらにマーティン・フリーマンさんのガーディアン紙のインタビューにて

”I had no interest in being in just a TV version of the film. As Billy Bob Thornton said: "If it was called Detroit, you'd still have to want to do it."

と語っていたりChannel4でのインタビューにて

”...The tone of the TV show is set by Noah Hawley’s scripts, which obviously are influenced by the Coen brothers, and I always go on whatever script I’m working on at the time."

と語っている意味が具体的にどういうことなのか、非常にクリアにわかりました。つまり、コーエン兄弟の映画がベースだけれども、別ものとして成り立っているTVシリーズだと証明する第1話だったんですね。あちこちで高い評価を受けているのも納得です。

【オリジナルFargoを知らない人には、ちょっとネタバレ?】
現役Fargo組は冒頭一発目、クスっと笑ってしまう、粋なトリビュートになっていますね。1号は粋だ!と思いました。ちゃんと年代も変えている 笑 (オリジナルを未見の方、ここで笑いをスポイルしてしまってごめんなさい。)

【アメリカだからこそできた?自分らしい役で”Tim from the Office”の殻を破ったマーティン・フリーマン】
ええ、ですから、いまだに言われるわけです。 もうほぼお約束ギャグですよね。でもフリーマンさん自身もおっしゃってますが、第一に俳優であって、コメディアンじゃないんですよね。ですから、そんなお約束ギャグは、上手にリアクションするスキルはありこそすれ、俳優のキャリアで考えたら足かせ同然なんじゃないでしょうか。
フリーマンさん扮するレスターは、うだつのあがらない保険のセールス員なんです。成績がよくないと昇進も昇給もない。奥さんにはイヤミを言われ、デキる弟には劣等感を抱き…という、じつは超想定内な役柄なんですよね。実際コレ、The Robinsonsでやってますもんね。ところが、イギリスとは異なりneo realismな(→世の中は無法地帯。自分の身は自分で戦って守れ。詳しくはKenneth Waltz/ケネス・ウォルツ氏の人間・国家・戦争: 国際政治の3つのイメージ などをどうぞ)アメリカが舞台なおかげで、想定内のキャラなのに、今までにない想定外な言動に走ってます。ハマり役なのに、意外なんです。見事なキャスティングと言われているのは、コレか!と思いました。

【んでもって、気になるフリーマンさんのアメリカ語】
ノース・ダコタのこの辺りのアクセントって、世間のイメージと違ってあまりクセがないそうですね。(→ソースはwikiさんの映画Fargo 頁です。違っていたらどうかツッコンでやってください)そのせいでしょうか、淡々とした感じのアメリカ語でしてね。フリーマンさんは、役柄のせいなのか、アメリカ語を話しているせいなのかわからないのですが、声のトーンがいつも聞く声より高くてですね。自分に自信がなく脅えてキョドキョドしている、jumpyなその動きと、声のトーンで、あんまりクセのないアメリカ語を話すもんですから、両指を合わせながらもにょもにょ喋るウディ・アレンとか、ビフにいじめられるマーティ・マクフライが頭に……汗。マーティン・フリーマンさんのアメリカ語に慣れてない自分が悪いんです。前述のとおり、まさにハマり役でしたし、自然かつ納得のお仕事っぷりでしたから。何話かすれば慣れてきて、レスターとしてのみ見えてくるんだと思います、はい。

日本でも人気の非常に高いマーティン・フリーマンさんがご活躍するTVドラマですから、日本でもTV放送やDVD発売は近い将来に保証されている気がしてなりません。早くどこかから確定がでるとよいですよね!

2014/04/08

ジェシー・アイゼンバーグさん&ミア・ワシコウスカさん&リチャード・アイオーアデ監督The Double 観ました。


【これまでのお話】
「ハイッ!こちらIT課」のモスでおなじみのRichard Ayoade/リチャード・アイオーアデさんは、そのヒット作のおかげで日本の海外エンタメファンの方々の間では大変な空気の読めないIT天才オタクというイメージがついておるかもしれません。しかし彼は、ケンブリッジ大学出身でして、英国コメディ史に欠かせない歴史と伝統あるケンブリッジ・フットライツで座長を務め、その後も英国コメディの登竜門をトップで通り抜けているエリート中のエリートコメディアンもあります。エリート・コメディアンというのは、だいたいナニしても「そつなくこなす」以上のクオリティを最低ラインとしてキープしており、アイオーアデさんが初監督したサブマリン [DVD] はそれはもう大変な高評価を得ております。日本でも東京国際映画祭で上映されておりますね。そんなアイオーアデさんの監督2作目、ということであります。はい。

【ネタもとはドストエフスキーのThe Double】
本作のネタもとはドストエフスキーの同名小説です。コレはFetchとかDoppelganger がモチーフのお話で、主人公の会社員が心理的に病んでいきます。
日本語では二重人格 (岩波文庫)
英語のキンドルでは100円強で、別のアプリ では無料で読めます。

本作のサイモンは大企業で働く、ハタからみるとうだつのあがらない会社員です。特にコレといった特技も特徴も印象もなく、いわゆる”その他大勢”。社員カードの磁気がおかしいのか、毎朝エントランスでひっかかるのですが、警備員は絶対にサイモンを憶えられない。7年勤務する大企業で毎日顔を会わせる警備員に顔を憶えてもらえず、毎朝入館トラブルです。
勇気も自信もないので好きな女の子ハナを密かに慕っているだけ。ハナのフラットの真向かいに住み、夜な夜な望遠鏡で様子を覗き見してます…。いえ、別にエッチな動悸からではないんです。ピュアに気になってしょうがないからなのです。そしてハナのフラットのゴミ収集所へ行き、ハナが捨てるとその場にかけこみます…。いえ、別にヘンタイな動悸からではないんです。ハナが毎晩描いては破って捨てるスケッチを拾ってはパズルのように繋ぎ合わせてメモ帳に張っているのです。そうなんです。サイモンはとってもピュアなセンシティヴ・ボーイなんです。
そんなある朝、新入社員がやってきます。それはサイモンと顔も身体も声もすべてが同一のジェームズ。しかしサイモンと真逆の中身。要領の良さや社交性は天下一品、女性の引く手あまたで、会社の上司たちのお気に入り。警備員にも一発で憶えられ、「ジェームズの友達だったら信頼できるから」と滞りなく入館できる。挙げ句の果てに、密かに想い続けていたハナまでが…

【アイゼンバーグさんの起用効果抜群】
サイモンが生息するシステム環境からは、トホホっぷりや情けなさのほかに、「周囲に認知してもらえない」「自分の居場所がない」といった不安と困惑の混沌とした空気がでています。コレはレトロかつ東欧的イメージの冷たさを出す舞台美術や照明効果だけでなく、かなりキャーキャー言われちゃうような華やかなハリウッドの(若いもしくは若く見える)イケメン俳優さんが、強烈な個性派俳優さん、英国コメディファンの間でしかカルト人気扱いされてないエリート芸人、英国のTVでしかなじみのないような俳優さんたちと空間を共有している、というビジュアルにある気がします。よってたかってこの映画を面白がり、ジェシー・アイゼンバーグさんをいじりたおしている。
具体的にいうとですね
クリス・オダウドは国際的活躍ぶりをみても、現実的かなと思いますが、
クリス・モリスとティム・キィ(英国コメディファンの間でしかカルト人気扱いされてないエリート芸人)と同じフレームに(合成なしで)アイゼンバーグさんが入ってるってはっきりいってヘンです。

またアイオーアデ監督の長編デビュー作「Submarine/サブマリン」の出演者チームに次々に弄られるって奇妙すぎます。
パディ・コンシダインさんとジェマ・チャンさんの出演の仕方は強烈です。本作の重要なmetaphorともなっているのですが、ファンじゃない方は、もしかしたら、見逃しそうです。

あ、ちなみにミア・ワシコウスカさんは「シンドラーのリスト」の赤いコート来た少女的役割の印象だったので、ホントにコレはピッタンコでした。
  
【ジェシー・アイゼンバーグさんがキャスティングとなった経緯】
気になるのが、一体どうしてこの映画に出演するにいったったかです。esquire.comのブログ内にあるアイゼンバーグさんのインタビューによると
I'm not evaluating somebody. I'm only evaluating them insofar as they're interacting with me... Richard Ayoade had only made one movie. The Double was his second movie and I'd never seen a director work in the way that he works, in terms of creating an entire world, in terms of creating an aesthetic, not only visually, but also emotionally, creating an emotional aesthetic for the movie that I've never experienced before. http://www.esquire.com/blogs/culture/jesse-eisenberg-interview-the-double

だそうです。なるほどです。

一方Metro紙のアイオーアデ監督インタビューによると
I feel he’s a little like Jack Lemmon, Dustin Hoffman or James Stewart. When I think of their roles, I don’t think of enormous physical transformations  but they play very different parts. Because these characters had to be very different but look the same, he seemed really right. He’s funny without being a comic actor. He was perfect. http://metro.co.uk/2014/04/03/richard-ayoade-the-double-star-jesse-eisenberg-will-make-a-good-lex-luthor-4687420/

だそうです。なるほどです。

【というわけで…】
アイゼンバーグさんの素晴らしい演技とアイオーアデさんの的確かつ個性的な演出効果、そして見事なキャスティングによって、世の中の不条理を心理的、社会的、そして政治哲学的に映し出していたんですね。サイモンと瓜二つでも中身は真逆のジェームズが、全方位でおいしいところをすべてもっていく。原作のプロットどおり社会の勝ち組になれないサイモンによる精神的崩壊を描くと同時に、社会がどのように機能し、自分とあまり変わらない(レベルの)学歴や容姿の人が、自分よりもちやほやされて成功していくのかをかなりピンポイントで的確に、一歩引いて冷酷に描いてます。そしてこの主人公と描写の距離感が滑稽を生み出し、容赦のないダークな笑いを作っていると思います。(*このテイストはアイオーアデ監督の超得意技です)
細かいネタバレは慎みたいと思いますが、これらの観点から視聴すると、1号のような人間は非常に共感を抱き、同時に笑い、さらには泣きたくなりました。まさにアイオーアデ監督がインタビューで
The premise seemed unique to me: this character who’s so lowly and invisible. That the double appears and no one notices seems to me to be a really remarkable way to take that story. You feel that if you had something as high-concept as that happen, everyone would react to it and it would spiral out of control. But it’s more that he’s just squeezed out and disappears. That seemed like a brilliant nightmare. It feels so funny, right and sad at the same time. http://metro.co.uk/2014/04/03/richard-ayoade-the-double-star-jesse-eisenberg-will-make-a-good-lex-luthor-4687420/

だと思います!

2014/03/29

レイフ・ファインズ、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、ティルダ・スウィントン他豪華すぎる競演「グランド・ブダペスト・ホテル」鑑賞☆ウエス・アンダーソン監督&シンメトリー祭り絶賛開催中

 http://www.foxmovies.jp/gbh/
日本公開は6月の予定。さすが固定客の多いウエス・アンダーソン監督作品、日本上陸も着実です。(あらすごい。もう字幕ついてるんですね!)


この作品のスゴさ、超越したクオリティの高さ、非の打ちどころのない完璧さをお伝えするのに、ストーリー説明も、ネタバレもまるで必要ありません。(注:日本のウィキさん情報ではホテルのコンシェルジュと若い従業員の交友を描いた作品。とか書いてありますが、ちょっと随分違うと思います。上のリンクにある公式サイトの作品紹介をご参照ください。)キーワードは「symmetry/シンメトリ」。

じつは鑑賞前に友人のデザイナーさんより以下のリンクを教えてもらいましてん。
http://www.openculture.com/2014/03/the-perfect-symmetry-of-wes-andersons-movies.html
このおかげで、今までなぜウェス・アンダーソン監督作品に惹かれていたのかを紐解ける、まさにEurika!モーメントを得たのですが、この知識を持って「グランド・ブダペスト・ホテル/The Grand Budapest Hotel」を観ましたらば…

これは!!!!!
エンタテイメントを超大手美術館に展示するべきレベルのビジュアル・アートへと昇華させた映画なのだと全身で実感できる作品でございました!!

必ずセンターにフォーカルポイントを置き、そこを中心にすべてを配置する。その緻密さだけでも脱帽のレベルなのに、さらに口を5本指すっかり飲み込むくらいあんぐり開けちゃうほどすごいのは動く役者さんです。例えばAからBへと移動する位置もすべて細かくバミってるんじゃないかと疑いたくなるくらいの精密さなんです。1フレたりともシンメトリを基軸に配置したすべてを崩すことがないんです。コレだけ動きに制限をつけられた役者さんらが、その”制限”を「ウエス・アンダーソンの映画」の一貫したイロとして表現していることが驚愕の域を超えています。どの役者さんがとくにすごい、のではなく、エキストラの役者さんを含め全員すごいです。

この映像がグルーヴィなのはシンメトリー効果だけではなく、もう一つ動きの「リズム」にあります。音楽担当は以前もアンダーソン作品に貢献しているオスカーノミネート歴ありのアレクサンドル・デスプラ氏。彼が作り出すバロック式のリズムにシンクロしてすべてが動くんです。カメラワークやだけじゃなく、役者さんがマニュアルでリズムにシンクロして動き、セリフを発するんです。完璧なシンメトリーの映像で、セリフの運びを含めすべてがリズムにシンクロして動いたら、どれだけグルーヴィーか想像していただけますでしょうか? はい、その100倍は軽くグルーヴィなんです。

さらに、この2ビート、4ビートを細分化したリズムというズレのおかげで、超絶な笑いを生み出す。過去「天才マックスの世界」や「ロイヤル・テネンバウムス」「ライフ・アクアティック」「ダージリン急行」他味わってきたウエス・アンダーソン節の真骨頂が全方位で堪能できます。あの笑いのしかけは、こういうことだったのか!と再認識できることを200%保証します。

こんなにアートを感じながら涙を流して笑える作品はそうそうありません。その美しさに身震いしながら、その精密すぎる完璧主義に感動しながら、涙を流してゲラゲラ笑う。それが「グランド・ブダベスト・ホテル」です。

絶対に観てください!!
2014年6月、日本の洋画ファンはアートの醍醐味を味わいながら腹を抱えて笑います。

2014/03/23

カンバーバッチさんが学生時代に演った演目として一部で話題となった「Rat in the Skull」のTVドラマ版(1987)がなぜか”某所”で公開中。オリジナルキャストのゲイリー・オールドマンさんでてます

この演目をカンバーバッチさんがマンチェスター大学時代にエディンバラにて学生劇にて参加していたというこれまでのお話は、こちら
http://blog.geekyguidestoenglish.com/2013/12/blog-post.html 

オリジナルはロイヤル・コート・シアターにて。若き日のブライアン・コックスさん、ゲイリー・オールドマンさんが出演。(→ さすがの1号もコレがナマで観れるほど長生きはしていなかった…)

その!「Rat in the Skull」ですが、1987年にTVでも放送になっていたのですね(ITV放送ですね)。この貴重な映像(購入不可能)を、どなたかが某所で全公開しております。保管していらっしゃる方がいたとは!
リンクを本ブログでお伝えするのは控えさせていただきますが、
今ならRon Hutchinson, RAT IN THE SKULL と検索するとでて来ます。(DVD発売などが発見でき次第、ここはさしかえます)

念のため、このTVドラマ版にはカンバーバッチさんは出演してらっさらないです。(→1987年のものです…)Rat in the Skullのお芝居がオールドマンさんで観れる映像があるということが素晴らしいと思い、アップしました。

2014/03/21

BBC2よりウインターボトム監督、スティーヴ・クーガンxBブライドンのThe Tripシリーズ2が始まります。

スティーヴ・クーガンは、「あなたを抱きしめる日まで」 (Philomena)で認知度が高まってきているのではないかと、期待します…。

近日放送開始のThe Trip Series 2のプレビューのネタ元が分からない方は、以下に説明しています。
 ↓
http://www.gojohnnygogogo2.com/2014/03/coogan-x-brydon-x-winterbottom-trip.html

Series 1については以下の古いブログになりますが、ほぼ、全ネタことこまかに説明しています↓ 日本未放送、未公開の作品、日本語を頼りにぜひ今からキャッチアップの方は、こちらをご参考にしてください。

http://komeddy.blog130.fc2.com/?q=the+trip+


2014/03/08

いつからマコノヒーは「マコノヒー」になったのか? マコノヒー祭りを独断と偏見で検証する

 【以下は主観と個人的経験が盛りだくさんの検証です。ご了承ください]


こんにちは。True Detectiveも最終回目前、ご覧の方も、今度ご覧の予定の方も、今まさにキャッチアップ中という方も、必ずくるであろう視聴できるその日をギシギシと歯をならして待っていらっしゃる方も、マコノヒー祭りが絶好調を迎える週末をお過ごしかと思います。

1号も、ほぼ大多数の海外エンタメファンにもれず、汗だくでハッピを着てマコノヒー神輿を担いでいます。でも、昔ながらのマコノヒーファンではありません。はい、マコノヒーが、「マコノヒー」になってからです。新参者です。

もちろん、「マコノヒー」とは
ダラス・バイヤーズクラブ(マシュー・マコノヒー出演) [DVD]
で、
True Detective: The Complete First Season (Blu-ray + Digital)
のことです。

でもこれよりも前にすでにマコノヒーは「マコノヒー」だったわけです。一体、この「マコノヒー」になったのはいつなのか。はじめ、やさぐれ度の高度成長期と合致するのかと思ったのですが、どうもそれほど単純ではないようです。
ちょっと考えてみました。

もともとマコノヒーの映画デビューはコレですよね

Dazed And Confused [Blu-ray] [Region Free]
このカルト的人気の、90sの青春映画で、「マコノヒー」への道を切り開く絶好調なスタートを切っていましたよね、たしか。ところがその後ほどなくして出演した作品の1本が、クラシックホラーとも呼べる名作「悪魔のいけにえ(Texas Chainsaw Massacre)」の続編「悪魔のいけにえ~レジェンド・オブ・レザーフェイス~ [VHS] 」。(出品者からお買い求めいただけるVHSのみ)

人生1回転した今なら絶対に観たでしょうが、”オサレな私がこんなものを観るなんてあり得ない”とツッパっていた当時、ポリシーとして5秒と我慢しない映画でした。

以降、マコノヒーを認識できなくなってしまいます。
こんなのを見たり

ニュートン・ボーイズ [DVD]

こんなのみたり、
アミスタッド [Blu-ray]

こともあろうにこんなのを率先してみたりしているんですが、
  エドtv [DVD]

役者さんに関する記憶が全く残っておらなくてですね。(*注)そのうち気がついたら駅や街中のポスター広告でやたらと


こういうのが目に飛び込んでくるようになりまして。この時期は、すっかりこういうことから夢も希望もなくなった暗黒まっただなかだったので、ポスターをみたとたん顔を背ける、くらい失礼をしているわけですね。たとえマシュー・マコノヒー マーシャルの奇跡 [DVD]なんてやってても、「マコノヒー」が残らないんですね。そして、マコノヒー=ロマコメ御用達俳優 みたいな情報だけインプットされていくのです。あらためてIMDBみますと、じつはロマコメ出演時期ってすごく少ないのに…。

ほどなくして、

トロピック・サンダー/史上最低の作戦 [Blu-ray]
なんて大当たり作品が登場します。しかしながら本作は強烈な個性と抱腹絶倒の笑いが大量生産されているため、好き好んで3回は観ているにも関わらず、キラリ際立つ「マコノヒー」を思い出せません…

じゃあ一体、いつなのか。いつまでもダラダラと続けているが、そろそろマコノヒーのキャリアも

ダラス・バイヤーズクラブ(マシュー・マコノヒー出演) [DVD]

に近づいてきている。まさか、これだけ引っ張っておいて、結局

ダラス・バイヤーズクラブ(マシュー・マコノヒー出演) [DVD]

で、終らせるんじゃねえだろうな(苛)

と、思われているかもしれません。いえいえ、大丈夫。今からです。
はい、マコノヒーがマコノヒっている、コレは注目しなければ、と確信した映画、それは!

Killer Joe [Blu-ray] [Import]

ショーック! 日本ではセルのお取り扱いがないとか?! TSUTAYAさんでレンタルできる「キラー・ジョー」です。「フレンチコネクション」のフリードキン監督の、「8月の家族たち」(原題Osage County)でピュリッツァー賞&トニー賞ダブル受賞の脚本を書いたトレイシー・レッツの手がけたとんでもない18禁衝撃作。「マコノヒー」を存分に堪能できる名作中の名作でした。
 
しかしですね。どうもひっかかる点がありまして。
それは


から、(あ! 以下のYOUTUBEリンクは、作品観てない方は、超山場のネタバレになるので、クリックしないことをおすすめします)


への豹変に、激震的ショックを受けなかったことにあります。 
コレは何故なんだろうと考えてみました。




あった。ありました。ショックを和らげるエアバッグな作品が!


それがコレです。↓↓↓






Eastbound & Down: The Complete Fourth Season [DVD] [Import] もうこの記事が長過ぎてイヤな感じを出しているので、クリエイター兼主演のダニー・マクブライドと仲間たちについて説明を割愛しますが、本作は米国で大変人気を博した(はずの)米ベースボール・シットコムです。ここでマコノヒーが「マコノヒー」臭を出してカメオ出演してます。マイナーリーグにケニーをスカウトしにテキサスから来たゲイのエージェント、ロイ・マクダニエル役です。If that's what it takes, then a cock and dream it will be sucked upon. Let's suck my dream's dick. のセリフが強烈ですが、感動シーンです(真顔)

こちらのシーンも、超人気。

ファンサイトではセリフもかき起こされています。
http://www.ebadquotes.com/chapter-21/praying-with-texas-scout-roy-mcdaniel/
Roy McDaniel: Will you pray with me?
Kenny Powers: To Jesus?
Roy McDaniel: Yes, sir.
Kenny Powers: Okay, yeah.
Roy McDaniel: Dear Jesus, we come to you with gratitude on this evening. With thanks, for shepherding this man, Kenny Powers to a personal victory.
The fact that we sit here now with you Lord in this clubhouse, is proof that Kenneth Powers has successfully sucked his dream’s d*ck, Lord. Thank you Jesus.
Kenny Powers: Thank you Jesus, for that.
Roy McDaniel: Kenny sucked, Kenny stroked, Kenny learned how to breathe through his nose while doing it. Kenny found a free finger to touch ass along the way, and that took commitment Lord. But you, and I, and Kenneth know that there is much more to come. The finish line, Jesus.
Kenny Powers: Hallelujah.
Roy McDaniel: Give him strength of fist to stay among the stroke, that you relax his throat to, to embrace this bulging opportunity.
Kenny Powers: Give me strength, f*ckin’ Jesus.
Roy McDaniel: Give him strength, Lord Jesus.
Kenny Powers: Endless strength, f*ckin’ Jesus.
Roy McDaniel: It’s gonna bring a fortified ejaculation together tonight for the first time, in his own public demonstration in front of you, and the world, Jesus.
Kenny Powers: Super chill, Jesus Christ.
Roy McDaniel: It’s come time, and it’s up to you, Kenny. Spit, or swallow. You know the answer.
Thank you Jesus. Amen.
Kenny Powers: F*ck yeah, Jesus. Amen.
Roy McDaniel: Take it down.

というわけで、まとめ。
マコノヒー祭り、万歳。です。

 *注:個人の能力不足もあるかもしれません。→The Believer含め話題作をことごとくみていたにも関わらず、R.ゴズリングをゴズリングとして認識したのが「ドライヴ」からだったというフルボッコされてもおかしくない前科を持っています。ホントにすみません。