2014/05/03

ディハーンさん&ラドクリフさん共演のキル・ユア・ダーリング/Kill Your Darlingsは、せつないロマンス映画以上の、知的映画です!

何しろ信仰宗教がパンクなものですから、ビート・ジェネレーションときけばマスト視聴になります。が!トホホな事情で英国公開当時に観のがしてしまい、今に至りました…。


キル・ユア・ダーリン [DVD]

(ちなみにこのキャッチ・コピーは、ちょっと映画の焦点とずれてると思ってます…。)

もうみなさん字幕付きで御視聴可能ですが、トレイラーもはっつけときます。

【お話は…】
ご説明するまでもなく、20世紀のアメリカ文学を語る上で必要不可欠なビート・ジェネレーションの初期メンバーの面々の出会い、活動、そして彼らの関係について描いているわけですね。

【せつないロマンス映画に、ビート・ジェネレーションの哲学が盛り込まれ、わかりやすくまとめられている】
メロドラマなのかな、とちょっと不安をかかえてたせいか、正直、かなり、驚きました。ビート・ジェネレーションについては、「ワールズ・エンド〜酔っぱらいが〜」のサントラのウンチクくらい簡単にはまとめられそうもない話じゃないですか。一方この結成時の話や彼らの関係は、のちに「Naked Lunch(ウイリアム・バロウズ)裸のランチ (河出文庫) 」「On the Road(ジャック・ケルアック)オン・ザ・ロード (河出文庫) 」「Howl(アレン・ギンズバーグ)ギンズバーグ詩集 」など絶対に死ぬまでに読んでおきたい異色の名作へと繋がっていく肝のところなわけですよね。そこがきちんと描かれている。何にうんざりしていたのか、何をやろうとしていたのか、何に影響を与えられたのか、何を生み出したのか…例えばですね、しょっぱなの図書館シーンでルー(→ディハーンさん)が、米国では60年代になっても性的表現がキツすぎると禁断だったヘンリー・ミラーの34年作「北回帰線北回帰線 (ヘンリー・ミラー・コレクション) 」からの引用をし、またそこが、アレン(→ラドクリフさん)とのビビビな出会い(→死語 汗)とかけている。
無駄がありません。

 またこちらも比較的冒頭の、授業中の教授とアレンとのやりとり。"Rhyme, meter, conceit. Without this balance, a poem becomes slack, sloppy. An untucked shirt."
 詩には韻律がなければ、だらしがなくなる。と講義する教授に韻律が嫌いだったホイットマンは?とアレンがツッコミ。さらに詩人である父親が韻律を使う理由は(そうすると)簡単だから、と。対して教授が「創造は模倣から始まる」とピシャリと言い捨てるわけです。冒険せず、習慣/慣習/社会の風潮にならい、流れのままに生きることを常とする米社会vs そんなのクソクラエだぜ、なパンク精神(ルーたち)の図式が見えるわけです。そして時代がら、この図式が本作のせつないロマンスにも通じている…。ビート・ジェネレーションの説明を大変魅力的に、無駄なくわかりやすく描いていると、ちっと感動してしまったわけです。


【敏腕編集者と踊らされるライターの力関係がよくわかる作品】
 こ、こちらは、超備考です。編集者さんは、ワテクシのような、たとえどんなに売れないヘボいライターも、持ち上げてくれるんです。自分の欲しいブツ(→原稿)を手にいれるために、すごく気を使ってくださいます。んで、なかには、仕事が終ると、あんたみたいなカスにつきあってる暇はないわ、って態度で示す方もいらっさるわけです。この頃のルーはまだ編集者じゃなかったわけですが、もう完全に立ち位置が編集者ですよね。ライターが必要なんだ、イイモノ書いてもってこい。って才能あるライター、アレンを上手に転がす感じ。アレンが手段を選ばす頑張って出来上がった詩を持ってって、ジャックがThat was beautiful, kid. ルーが You wrote that? んで、アレンがYou asked me to. ぶっは〜〜〜!! うーん。共感!(違)

【脇の俳優陣について特記したいこと】
アレンのお父さん役を演じるのがDavid Crossだったのを認識した冒頭で、私はこの作品はオサレだ、と思いました。デヴィッド・クロスは米の芸人さんであり、作家さん、転じて俳優さん、なのですが、活動が主流と別を行くエッジでパンクさで有名なのです。(ちなみにTVは(伝説の)ベン・スティラー・ショーに作家として参加したのがデビュー戦。)そして6人の俳優がボブ・ディランを演じて話題となったアイム・ノット・ゼア [DVD] 憶えてらっしゃいますでしょうか? あそこで、アレン・ギンズバーグ役を演じたのがほかでもない、デヴィッドなんですよね。なのでこの配役、ホントオサレだと思うんです!

もうひとり、ルーと”特別”な関係にあるDカマラー役が「デクスター」のマイケル・C・ホール。微妙に役がぶってて、コレもオサレって思っちゃったのですが、ココは個人差があるかもしれません…汗

そんなわけで、この作品、ホント面白かったと思います! 

拍手する

0 件のコメント :

コメントを投稿